新車販売促進、長く働いてもらえる環境整備図る
三菱自動車工業と日本郵船は7月31日、三菱自のフィリピンの製造・販売子会社Mitsubishi Motors Philippines Corporation(MMPC)と、日本郵船グループで船員向け金融サービス「MarCoPay(マルコペイ)」を手掛けるMarCoPay(マルコペイ)が業務提携契約を締結し、同日からMarCoPayのモバイルアプリ上で、フィリピン人船員向けの新車販売を促進する取り組みを開始したと発表した。
フィリピンは世界有数の船員供給国で、約20万人の外航貨物船の船員がフィリピン人。日本商船隊に限れば、現在乗船中の全船員の7割に相当する約4万人がフィリピン人となっており、日本と世界の海運業はフィリピン人船員によって支えられていると表現しても過言ではないという。
通常、外航貨物船の船員は、数カ月から半年以上の期間にわたる乗船を終えた後に下船し、一定期間休暇を取り、再び乗船するというサイクルを繰り返している。フィリピン人船員の間では、家族と休暇を有意義に過ごすための自動車を購入するニーズが非常に高い一方、自国の平均を大きく上回る高所得者層でありながら、自動車ローンを申請しても銀行で承認されにくい現状がある。
その背景として、船員が乗船ごとの期間雇用者とみなされたり、国外就労者と分類されて煩雑な書類準備を課されることなどがあるという。フィリピン人のニーズを満たすことで、長く働き続けてもらえる環境を整備したい考え。
MMPCはフィリピン国内で70のサプライヤー、26のディーラーグループと取引関係がある。一方、マルコペイは船員やその家族、関係者が抱える課題を解決し、生活を支えて豊かにすることを目指して2019年に発足した。フィリピン人船員を主な対象として、電子通貨による給与支給や送金・為替機能を有し、さらに優遇条件での各種融資や保険を紹介する金融サービス「MarCoPay」を展開している。
22年には、フィリピン国内の銀行と提携して「MarCoPay提携ローン」の提供を開始。船員の自動車ローンの承認率向上を目指してきた。「MarCoPay提携ローン」では、マルコペイが船員と銀行を仲介して自動車ローン承認に向けた交渉を行ったり、フィリピン国内最低水準の金利条件で自動車ローンや自動車保険商品を取り揃えたりと船員にとって多くのメリットを提供するよう心掛けている。
MMPCとマルコペイは両社のサービスをマッチングさせ、フィリピン人船員のローン承認とマイカー購入の双方を力強く後押しし、船員の生活水準向上を目指す。
1. MarCoPay アプリ内にMMPC社特設ページを設置
MarCoPayアプリ内に設置されたMMPC社の特設ページで、船員は三菱自動車の新車購入の相談と、「MarCoPay提携ローン」の申し込みが可能。
2. 船員への本提携限定の特典の提供
「MarCoPay提携ローン」を利用して三菱自動車の車を購入した船員に対して、カーライフを豊かにすることをサポートできるような限定特典を提供する。また期間限定のキャンペーンなども展開する。
3. 広告の掲載
MarCoPayアプリ内や、マルコペイ社が使用する外部広告媒体で、船員向けの広告を掲載。さらにフィリピンでの船員集会などに参加し、両社のサービスや提携を周知する。
【提携イメージ図】
今後の展開
マルコペイは提携銀行との連携をさらに強化し、銀行が自動車ローンの承認可否を、本格的な審査の前に初期的な情報で簡易的に判定し、船員に伝える「事前承認制度」など、自動車購入を検討する船員がよりスムーズに、より高い確率でローンを取得できる仕組みの構築に注力する。
(藤原秀行)※いずれも三菱自動車と日本郵船提供