運輸部門の温室効果ガス排出削減に期待
出光興産とENEOSは8月2日、サウジアラビアの国営石油会社Saudi Arabian Oil Company(サウジアラムコ)と3社で、日本における合成燃料(e-fuel)に関する技術協力と実用化・普及に向けた検討に共同で取り組むことで合意したと発表した。
7月16日に日本・サウジアラビア両国政府立会いの下、調印式を開催し、MOU(覚書)を締結した。
調印式の様子(プレスリリースより引用)
合成燃料(e-fuel)は、再生可能エネルギー由来の水素と回収したCO2を合成することで生成される液体燃料で、運輸部門の温室効果ガス排出削減に大きな可能性を持つ燃料として注目されている。流通に当たり、貯蔵タンクやパイプラインなど既存のインフラの活用や、自動車、船舶、航空機のエンジンに手を加えることなく利用できる可能性があることから、低炭素化の早期実現策として期待されている。
出光は合成燃料の早期社会実装に向けて、海外プロジェクトからの合成燃料調達および国内での実用化・普及に向けた検討を進めている。また、国内のグループ製油所・事業所における合成燃料の生産検討を進め、2020年代後半までに合成燃料の生産・供給体制を確立することを目指している。
ENEOSも「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」の両立を長期ビジョンとして定め、エネルギートランジション(環境負荷の低いエネルギーへの転換)をリードし、カーボンニュートラル社会で国内のエネルギー供給を支え続けるため、合成燃料などのカーボンニュートラル燃料事業開発に取り組んでいる。
今回の合意により、出光とENEOSはアラムコとタッグを組み、それぞれが持つ液体燃料や内燃機関に関する技術・知見を活かし、次世代型低炭素燃料の合成燃料導入を加速させ、運輸部門の温室効果ガス排出削減を進めていきたい考え。
(藤原秀行)