日本の普及見据え、まず地域のコミュニティバスで実用化目指す
NTTは11月7日、米国で自動運転システムの開発を手掛けるMay Mobility(メイ・モビリティ)に出資したと発表した。併せて、メイの自動運転システムの日本国内独占販売権を獲得した。
NTTは今回のメイの資金調達ラウンドでリードインベスターを務め、他にあいおいニッセイ同和損害保険も出資に加わった。具体的な調達額は開示していない。
メイは米ミシガン大学の自動運転研究チームのメンバーを中心に、2017年発足。日本の交通事情にも適合する自動運転技術に強みを持ち、北米と日本の12都市で35万回以上の自動運転走行の実績を持つ。NTTは日本での自動運転実用化をにらみ、自社グループの5G(次世代高速通信)などの通信基盤とメイの先進技術を連携させて関連事業を展開していきたい考えだ。
あいおいニッセイ同和損保は損害保険などの面で実用化を後押しする。メイの自動運転車両の一部にあいおいニッセイ同和損保の米国完全子会社MOTER Technologies(モーター・テクノロジーズ)が開発する保険ソフトウェアを搭載、走行データのリスク分析などを目的とする実証実験を実施する計画。
NTTは今後、地域の交通事業者、地域住民ら多様なステークホルダーとの連携も推進し、需要が見込まれる地域で自動運転サービスの実用化を図る。NTTグループと2020年3月からスマートシティビジネスの長期的かつ継続的な協業関係を構築しているトヨタ自動車とは、今後の自動運転に関する車両の提供を含む取り組みで連携を深める。
まずは交通課題を抱える複数の地方自治体と協働し、コミュニティバスによる自動運転サービスを実現させていきたい考え。その後、自動運転車両を様々な車種に拡大していくことを視野に入れている。
トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」の対応促進にもつなげることを念頭に置いている。
(藤原秀行)