地元企業買収、中間所得層増加見込み対応図る
双日は11月21日、100％子会社の双日米国会社を通じて、ペルーの医薬品物流会社Salog（サログ）とSalutare Soluciōn Integral（サルタレ・ソルシオン・インテグラル） の持ち株会社BNS Latin Invest（ビーエヌエス・ラテン・インベスト）の株式を取得、医薬品物流事業に参画すると発表した。
株式の具体的な取得額などは開示していない。
サログはペルーの社会保険庁「EsSalud（エスサルー）」とPPP（官民連携事業）契約を締結、2010年からリマ首都圏で医薬品などの在庫管理・梱包・配送サービスを展開している。エスサルーはペルーの民間企業従業員を対象に公的健康保険と医療サービスを提供しており、全国の加入者数は人口の約2.6人に1人に相当する約1277万人に上る。
サログはエスサルーが購入した医薬品と医療関連用品（取扱品目数約7000）の物流拠点で保管・在庫管理、リマ首都圏の55のエスサルー傘下病院（病床数約6000）、約700の提携先の民間薬局などへの配送を担っている。サログはエスサルーが手掛けていた物流業務を受託し、データに基づく需要予測・発注提案を通じて、余剰在庫や欠品の減少といった在庫の最適化を実現した。
19年よりエスサルー患者の最寄りの薬局や自宅へ処方薬の配送を始めたことで待ち時間を短縮化するなど、患者の利便性や満足度向上にも寄与している。
（双日提供）
ペルーの人口構成は若年層が多く、今後の経済発展に伴い、エスサルーが対象とする中間所得層は着実に増加すると予想されている。ペルーのヘルスケア分野では、医療サービスの地域格差是正や質の向上に向けた様々な取り組みが進められており、物流分野でも民間企業による効率的で質の高いサービスに対する需要の増加が見込まれているのに対応する。
双日はこれまでアジアを中心に培ってきた物流分野の知見を活用し、ペルー全土に加えて近隣諸国でも医薬品物流サービスの提供拡大を目指し、中南米地域での事業経験の蓄積を図る。
（藤原秀行）
