経済成長で外食需要増に対応図る
双日は11月22日、双日アジア会社および双日ベトナム会社と共同で、ベトナムの業務用食品卸最大手DaiTanViet Joint Stock Company(ダイタンビエット・ジョイント・ストック・カンパニー)の全株式を取得したと発表した。取得額は開示していない。
ベトナムの外食市場は経済成長に伴い、デリバリーと店内飲食の両面で需要が急増している。ダイタンビエットの業務用食品事業とフードサービス事業は、国内外のサプライヤー約100社の約2000品目を取り扱い、約6000の中高級クラスのホテルや飲食店を顧客に抱えている。
特に食生活の多様化で需要が伸びている輸入牛肉やチーズなどの取扱量はトップクラス。取扱商品の多くは自社工場で加工・製造し、「Bottega Lachize」ブランドとして全国に流通しており、今後も販売を強化する予定。フードサービス事業では、顧客に対し、取扱商品を活用したレシピ開発をはじめとするコンサルテーションサービスを提供している。
双日はダイタンビエットを傘下に収め、小売店向け消費財卸大手のHuong Thuy Manufacture Service Trading Corporation(フン・トゥイ・マニュファクチャー・サービス・トレーディング・コーポレーション) とともに、個人経営の小売店や量販店から、中高級ホテルや飲食店までを網羅する総合食品卸を形成し、両社の顧客網を生かした販路拡大を図る。
双日グループのMFベトナムが取り扱う水産加工品をダイタンビエットの販売網を通じて販促するなど、グループ各事業との相乗効果を高め、バリューチェーンの強化を狙う。
ダイタンビエットは業務用食品とフードサービス事業、乳原料の3領域で事業を展開。2022年の売上高は約370億円に上る。ベトナムの食品輸入事業者として唯一、セキュリティー管理と法令順守の体制が整備された事業者として、税関からAEO制度の承認・認定を受けており、迅速な通関手続が可能。
(双日提供)
ベトナムの乳製品市場は、中間所得層の増加に伴い、今後数年で約84億ドル(約1兆2600億円)規模に拡大し、年平均成長率は8%超に達すると見込まれる。ダイタンビエットはニュージーランドの乳業最大手のフォンテラから乳原料をベトナムに輸入し、粉ミルクなどを製造する乳製品メーカーに供給している。短納期や小ロットの受注など顧客ニーズに即した対応にも定評があり、売上高ベースでシェア約4割を占め、業界トップ。
(藤原秀行)