広域カバー可能、日通が入居決定
「プロロジスパーク盛岡」
プロロジスは11月28日、岩手県紫波郡矢巾町でマルチテナント型物流施設「プロロジスパーク盛岡」が竣工したと発表した。賃貸面積の約2割を日本通運が利用することが決まっている。
プロロジスはこれまで東北エリアで仙台市などに賃貸用物流施設を展開してきたが、岩手県内での開発は初めて。地上3階建て、延床面積は9万9604㎡で東北エリア最大規模という。
東北縦貫自動車の盛岡南ICから約4.7km(約8分)、県道13号から約1.5kmと至近。3時間以内に南は仙台、北は本州最北まで到達可能で、青森・秋田・岩手の東北3県をはじめ東北の広域をカバーできると見込む。
トラックドライバーの時間外労働規制が強化される「2024年問題」への対応として、東北エリアで拠点分散化ニーズが増加しているのを踏まえ、東北の物流ハブとなっている仙台エリアに加えて北東北への中間在庫拠点として開発地周辺への立地ニーズが伸長すると想定、岩手へ進出した。
北東北エリアには大型物流施設が少なく、各階アクセスにより平面使いができる最新鋭の物流施設は岩手県内で初という。同県内では賃貸用物流施設の空きは希少で、北上エリアや花巻エリアからの増床ニーズも見られる。日本通運は北東北の拠点戦略の見直しから入居を決定したという。
上り下り専用のスロープを設け、各階のトラックバースに45フィートコンテナセミトレーラーがアクセス可能な仕様を採用。ワンフロアでの最大の賃貸面積は約1万9000㎡、最小面積は約5000㎡からと設定しており、最大12企業が入居できる。
1階は低床式で床荷重は2t/㎡と重量物にも対応。2階は中央車路を挟んで西側の区画は4面にバースを有し、東側の区画は片面バースとなる。3階は中央車路を挟んだ東西2区画に専用バースを備えている。
地形を利用した高低2段構造を取り入れ、高低差を使って1階と2階の両方に道路レベルから直接乗り入れられるようにしている。スロープを利用し、3階へも直接アクセス可能。敷地内は全て一方通行とし、各階の出入り口を中央車路でつなげることで、安全で機動性の高い通行と荷さばきを後押しする。
寒冷地・積雪対策として、施設内の傾斜部分にロードヒーティングを敷設。雨どいにはヒーターを設置し、複数台のホイールローダーを敷地内に整備するなどの工夫を凝らしている。
環境負荷低減策として、施設屋根面に5.3MWの太陽光発電設備設置を計画中。庫内には通常のLED照明比で電力使用量を半減できる高天井用センサー付きインテリジェントLED照明(プロロジス共同開発)を設置し、施設内と入居企業のESG推進に貢献する。
CASBEE(建築環境総合性能評価システム) Aランク、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の最高位5スター、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)認証をそれぞれ取得する予定。EV(電気自動車)用充電設備も備える準備を進めている。
カフェテリアには24時間営業の無人コンビニエンスストアや無料Wi-Fiを設置。元々植わっていた敷地内の樹木は、カフェテリアの内装材やエントランス庇の軒裏天井に再利用した。
「異彩を、放て。」をミッションに、主に知的障害のある作家と契約を結び、アートのライセンスビジネスをはじめとした多様な事業を手掛ける福祉実験カンパニー「ヘラルボニー」(盛岡市)の理念に共鳴し、契約作家 八重樫季良の作品を、施設空間を彩るアートとして導入している。
外構部分は歩道部の「インターロッキング」の素材に再生プラスチックを採用。 再生プラスチックは、他にもトラックバースのカーストッパーの一部にも使用し、脱炭素化にこだわっている。
防災、BCP(事業継続計画)の一環として、緊急地震速報システムや災害用無線機「ハザードトーク」の導入に加え、停電時でも共用部の電力を72時間程度維持する非常用発電機を備え、停電時に利用可能な組み立て型簡易トイレを準備。普段はベンチとして使い災害時はかまどとしても利用できる「かまどベンチ」を設置している。
「プロロジスパーク盛岡」概要
名称 | プロロジスパーク盛岡 |
所在地 | 岩手県紫波郡矢巾町大字広宮沢 |
敷地面積 | 73,713.12㎡(22,298.22坪) |
延床面積 | 99,604.61㎡ (30,130.39坪) |
構造 | 地上3階建て、鉄骨造 |
着工 | 2022年3月 |
竣工 | 2023年11月 |
(藤原秀行)※いずれもプロロジス提供