JILS売上高物流コスト比率調査速報、22年度実績は2年連続低下し5.00%

JILS売上高物流コスト比率調査速報、22年度実績は2年連続低下し5.00%

「価格転嫁が追い付いていない可能性も」、23年度は上昇予想

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は12月15日、2023年度の物流コスト調査結果の速報版を公表した。調査結果は原則として22年度の実績値を表している。

回答企業の売上高に占める物流コストの比率は全業種平均で5.00%(有効回答数208社、速報値)となり、前年度調査結果から0.31ポイント低下した。前年度の実績を下回ったのは2年連続。21年度調査は過去20年間で最も高い割合を記録したが、そこからは下落が続いている。

JILSは「物流単価は上昇傾向にあるものの、それ以上に物流量に対する売上高(販売単価)の伸びが大きい」と指摘。

「昨今のサプライチェーンの混乱や円安などの状況から、仕入価格や製造原価、販売管理費の上昇分が価格に転嫁され始めていることが推測される半面、荷主企業は値上げ要請には応じつつあるものの、物流コストの価格転嫁が追い付いていないという可能性も考えられる」との見方を示した。

21年度調査にも協力し、比較が可能な141社ベースで比べると、0.15ポイント下がって5.28%だった。全体の調査調査結果よりは下落幅が小さくなっている。

23年度実績の見通しは、物流単価が上昇し、販売単価の伸びを上回ることから売上高物流コスト比率の上昇が予想されるという。


売上高物流コスト比率の推移と23年度調査結果の概要(JILS公表資料より引用)

調査は23年6~10月、荷主企業にアンケート調査票を送付した。全社ベースの売上高物流コスト比率を業種大分類別の平均値で見ると、製造業(134社)は5.16%で22年度調査から0.18ポイント下落。非製造業(74社)は4.70%で0.54ポイント低下した。

非製造業のうち卸売業(39社)は4.13%で22年度調査から1.58ポイント低下。小売業(28社)は1.81ポイント上がって5.32%となった。

2年連続回答した企業では、製造業(100社)は0.09ポイント低下し5.63%、卸売業(31社)は0.68ポイント下がって4.16%、小売業(8社)は0.91ポイント上昇し4.34%だった。

調査結果の確定値は23年4月に公表する予定。

(藤原秀行)

JILS調査結果速報版はコチラから(ホームページ)

経営/業界動向カテゴリの最新記事