低温物流市場、23年度は1.2%増の1兆7937億円と予想

低温物流市場、23年度は1.2%増の1兆7937億円と予想

矢野経済研究所公表、コロナ禍前水準に回復

矢野経済研究所は12月18日、低温物流市場の動向に関する調査結果を公表した。

2022年度の市場規模は日系低温物流事業者の国内販売高ベースで前年度比3.6%増の1兆7724億円になったと推計。新型コロナウイルス禍前の19年度(1兆7109億円)からは3.6%増えており、コロナ禍前の水準に回復してきた。

22年度の結果について、同社は「前年度に続き、多くの産業で事業活動が再開され低温食品の需要も回復傾向が見られたほか、人件費や電気代、燃料費などの上昇を反映した物流費の増加が市場規模を押し上げた」と指摘している。

また、市場規模拡大の一要因として、冷蔵倉庫(冷凍含む)の所管容積増加に伴う収容能力の拡大が挙げられると説明。需要が高まっている冷凍食品は畜産物の約2.5倍程度の容積が必要となると同時に、冷凍すると長期保存が可能なため倉庫保管期間が長期に及ぶケースが多く、冷凍食品の増加は倉庫容積圧迫要因の一つになると解説している。

その結果、冷凍食品の需要増加に対応すべく、低温物流事業者各社が冷蔵倉庫の建て替え(増築)や新設を手掛け、所管容積は拡大傾向となっていると分析。

消費地に近いエリアで食品流通に適した機能を備える流通型の冷蔵倉庫や多機能な冷蔵倉庫のニーズも高まっており、各倉庫では頻繁に入出庫が行われると同時に、食品の流通加工などが行われるケースも多く、低温物流事業の拡大につながり、市場規模拡大に寄与していくとの見解を示した。

一方、23年度の低温物流市場規模は1.2%増の1兆7937億円と予測。コロナの5類移行に伴い、主要荷主の小売業態でさらに事業拡大が見込まれるものの、物価高騰による消費低迷の影響や外食産業の回復の鈍さ、インバウンド需要が回復途上であり最盛期には及ばないことなどを考慮し、物量(取扱量)としては回復に向かうものの横ばいから微増傾向で緩やかに推移するものと想定している。

一方、「2024年問題」を間近に控え、トラックドライバー確保に伴う人件費上昇の動きが加速するとみられるため、引き続き市場規模の拡大が見込まれるとの見方を示している。


市場規模の推移(矢野経済研究所プレスリリースより引用)

(藤原秀行)

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