メキシコ湾岸で開発手掛ける現地企業に出資
ENEOSは1月11日、環境に配慮した方法で生成するクリーン水素のサプライチェーンを日米間で構築し、日本へ安定的に調達できるようにするため、米国でクリーン水素開発プロジェクトに参加すると発表した。
米メキシコ湾岸でクリーン水素の製造を目指す米MVCE Gulf Coast(MVCEガルフ・コースト)に出資した。具体的な出資額は開示していない。
ENEOSは水素を大量消費するカーボンニュートラル社会の実現を見据え、国内外で安価かつ安定的なクリーン水素のサプライチェーン構築を目指している。その一環として、アジアや中東、オーストラリアで業務提携先と共同の水素製造検討や、効率的な水素の貯蔵・輸送形態とみなされているメチルシクロヘキサン(MCH)の製造・輸送の検討を進めている。
MCHはトルエンに水素を反応させて生み出す有機ハイドライドの一種で、常温・常圧下では液体状態の炭化水素化合物。タンク・配管・桟橋など製油所の既存設備や、ケミカルタンカー・ローリーといった石油・化学品の輸送インフラを活用した輸送・貯蔵が可能なのがメリット。
MVCEは脱炭素技術に着目したファンドを運営している米Azimuth Capital Management(アジムス・キャピタル・マネジメント)が立ち上げた。水素・アンモニア製造などの事業とプロジェクト開発に関する豊富な経験と知見を有し、米メキシコ湾で世界有数規模の水素、MCH、アンモニアのプラント開発を展開している。
ENEOSは出資により、メキシコ湾におけるコスト競争力のあるクリーン水素製造とMCHの日本への輸出に関する事業化の可能性について検証を進める。
(藤原秀行)