公取委と中企庁の27業種対象調査、22年度からも低下
公正取引委員会と中小企業庁は1月18日、企業がコスト上昇分を取引価格にどれだけ転嫁しているかに関する2023年度の調査結果を公表した。
下請法違反などが目立つ27業種を対象に、業界団体を通じて自主点検を要請した。発注側として、価格転嫁の要請が受注企業からあった場合に「おおむね転嫁を受け入れている(目安は80~100%)」と回答した割合は全業種平均で84.5%だった。
個別の業種を見ると、道路貨物運送業が45.5%で最も悪かった。2番目に割合が低かった映像・音声・文字情報制作業(66.7%)と20ポイント以上も差が開いており、断トツの最下位だった。27業種の中で唯一、道路貨物運送業が5割に届かなかった。
最多は鉄鋼業で97.6%。次いで非鉄金属製造業・金属製品製造業(96.2%)、機械器具卸売業(92.8%)、広告業(92.2%)などと続いた。
道路貨物運送業は「一部転嫁を受け入れている(目安は40~79%)」が37.6%、「ほとんど転嫁を受け入れていない(目安は0~39%)」が16.9%で、いずれも27業種中の最多を記録。元請けとしての道路貨物運送業は価格転嫁の遅れが際立っていることが浮き彫りとなった。
道路貨物運送業は、対象が19業種だった22年度調査時(48.4%)と比べると「おおむね転嫁を受け入れている」の割合が低下した。「一部転嫁を受け入れている」は34.3%から37.6%に上昇した一方、「ほとんど転嫁を受け入れていない」は17.3%から16.9%へ微減となった。
19業種平均より「おおむね転嫁を受け入れている」の割合が低かった情報サービス業、映像・音声・文字情報制作業はともに22年度調査から10ポイント以上アップしているのとは対照的だ。
各業種で具体的に回答した企業数は開示していない。ただ、道路貨物運送業は調査対象のうち回答した割合がわずか3.4%で、これも27業種中の最低だった。
(報道発表資料より引用)
(藤原秀行)