海外店舗に生産品・果物輸送、鮮度維持可能で効率化も期待
オーシャン ネットワーク エクスプレス(ONE)と総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を傘下に持つパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)、NAX JAPANの3社は2月2日、2温度帯対応が可能なCA(Controlled Atmosphere)コンテナを利用した初の海上トライアル輸送を共同で開始したと発表した。
本コンテナは1本で2つの異なる温度帯の貨物を輸送できるほか、コンテナ庫室内の酸素と二酸化炭素の濃度を変えることで青果物などを長持ちさせることが可能なCA機能を備えている。
CA機能を備えた2温度帯対応コンテナの海上輸送利用は世界で初めてという。
PPIHが海外で展開している「ドン・キホーテ」の海外店舗向けに、日本から複数種類の生鮮品・果物を運ぶ。少量多品種貨物のより効率的な輸送やコスト削減を図るのに加え、輸送時のCO2排出量抑制、在庫リスク低減によるフードロス低減なども見込む。
「ドン・キホーテ」の公式キャラクター「ドンペン」とNAXのロゴを側面に表示した2温度帯対応CAコンテナ
本コンテナは異なる温度帯に対応するため、庫内中央部に開閉可能な間仕切りを備えている。リーファーユニット(冷凍機)に近い側の庫内は通常のリーファーコンテナと同様、-30℃から+30℃までの冷凍冷蔵・定温輸送に対応。もう一方の庫内には、天井部分にサーマルファンを取り付けることで天井伝いに冷気を送り込み、-5℃から+30℃までの温度帯に対応する。
中央部の間仕切りは前後に動かせるようになっており、必要に応じて庫室の広さを調整するほか、不要時には天井部に格納して通常のリーファーコンテナとして利用できるよう配慮している。
コンテナ内部
PPIHは現在、アジア6カ国・地域で「DON DON DONKI」など計43店舗(2023年12月末現在)を、日本産品を中心に提供するジャパンブランド・スペシャリティストアとして運営している。
各店舗では日本の青果物など生鮮食品が高い人気を誇るが、一方でこれまで海上輸送期間中の鮮度保持が課題となっていた。
また、タイやマレーシアなど店舗数の少ない国向けは貨物量が少なく、コンテナ積載効率の改善や輸送コストの低減も迫られていた。2温度帯対応CAコンテナを活用することで課題の解決を図る。
NAX JAPANは生鮮品の輸出における物流パートナーとして協力。本コンテナの製造と試験輸送は農林水産省が実施する農水水産物・食品輸出促進緊急対策事業から輸出物流構築緊急対策事業(令和4年度=2022年度補正)の支援を受けている。
ONEとPPIH、NAX JAPANは今後、トライアル輸送を継続して実施し、日本の農林水産物の輸出促進を後押ししていくことを狙う。
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用