物流オープンデータ活用コンテスト、最優秀賞は「ヒヤリハット」を生成AIで分析・気配りコメントでドライバーにフィードバックするアプリを選出

物流オープンデータ活用コンテスト、最優秀賞は「ヒヤリハット」を生成AIで分析・気配りコメントでドライバーにフィードバックするアプリを選出

大和ハウスやロジスティード、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所が開催

大和ハウス工業とロジスティード、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は11月1日、物流業務に関する実際の車両稼働などのビッグデータを生かし、AIなどのデジタル技術も用いてドライバー不足といった輸送業界が抱える課題の解決に資するサービスやアプリケーションの内容を競う「スマートロジスティクス オープンデータチャレンジ」の表彰式を、東京都大田区の「羽田イノベーションシティ」で開催した。

コンテストは今年が4回目。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、4年ぶりの開催となった。ロジスティードの安全運行管理ソリューション「SSCV-Safety」から得たトラックドライバーのバイタルデータやドライブレコーダーの走行履歴などを公開(オープンデータ化)し、有効利用方法を2022年12月9日~23年8月31日の間、国内外問わず一般から広く募集した。案件の有効登録者数は152人に上った。

審査の結果、最優秀賞は筑波大学の非常勤講師などを務める岩永二郎、西村直樹の両氏が開発したアプリケーション「SSCV アシスト for Manager」を選出、賞金200万円を授与した。生成AIの「ニュアンスを考慮した文章生成能力」を駆使し、SSCV-Safetyで得た「ヒヤリハット」の案件を分析して、管理者からドライバーへの気配りのある効果的なフィードバックのコメントを短時間で当日中に作成するのが特徴。

ドライバーが受け入れやすいコメントの形にすることで、交通安全の意識を高く保ち、ヒヤリハットの再発防止に取り組む意欲を高められると期待できる点などを評価した。最優秀賞を含む入賞作品については、フレームワークスなどが今後事業化の可否を検討する見通し。


最優秀賞を獲得した西村氏(左)と岩永氏(中央)。右はフレームワークスの秋葉淳一会長

<最優秀賞>

<入賞作品>

(※敬称略)

表彰式で、審査員を務めた大和ハウスの浦川竜哉常務執行役員は「入賞された5つのアイデアにはわれわれも本当にいろいろと気づかされた。今後も物流の進化へ皆様の英知をお借りしていきたい」と総評。ロジスティードの佐藤清輝ロジスティード専務執行役員営業統括本部長は「交通と物流をサスティナブルにしていくというわれわれの思いを実現するためにも、皆様のデータ分析の知見と発想力をさらに生かし、(新たなサービスの)開発に一層尽力していただきたい」と語った。

大和ハウスグループのフレームワークスの秋葉淳一会長は「バイタルデータはバスや緊急車両、一般のドライバーにも活用できるように思えた。さらに皆さんのアイデアが広がっていくことへの期待を感じられた」と語った。先進技術創出を後押しする施設の羽田イノベーションシティ運営に携わる加藤篤史羽田みらい開発SPC統括責任者(鹿島開発事業本部事業部長)は「データをうまく扱い、有効な形でフィードバックされる皆様の取り組みはわれわれにとって非常に参考になった」と述べた。


表彰式に参加した(前段左から)大和ハウス・浦川氏、最優秀賞の西村氏と岩永氏、フレームワークス・秋葉氏、(後列左から)羽田未来開発・加藤氏、優秀賞を獲得した亀田氏、特別賞の柳原氏、優秀賞の國府氏と大野氏、ロジスティード・佐藤氏

<開催概要>
主催: 大和ハウス工業株式会社
共催:YRPユビキタス・ネットワーキング研究所
特別協力:ロジスティード株式会社/株式会社フレームワークス/羽田みらい開発株式会社
協力:INIAD cHUB(東洋大学情報連携学 学術実業連携機構)
オープンデータパートナー:公共交通オープンデータ協議会/一般社団法人デジタル地方創生推進機構(VLED)/警察庁
募集期間:2022年12月9日(金)~2023年8月31日(木)

審査員長:坂村健(INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 所長)
審査員:
浦川竜哉(大和ハウス工業株式会社 常務執行役員)
佐藤清輝(ロジスティード株式会社 専務執行役員 営業統括本部長)
秋葉淳一(株式会社フレームワークス 会長)
加藤篤史(羽田みらい開発株式会社 SPC統括責任者、鹿島建設株式会社 開発事業本部 事業部長)

審査基準:スマートで安全な物流への提案性の観点から総合的に判断
表彰内容:
最優秀賞:200万円×1
優秀賞:50万円×3
特別賞:30万円×1

(藤原秀行)

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