政府が人手不足受け、与党内には慎重論も
政府は、専門的な技能や知識を備え即戦力となる外国人労働者を人手不足の分野で受け入れることを認める特定技能制度の対象に、トラックドライバーなどの「自動車運送業」を追加する方向で最終調整に入った。
人手不足が深刻化しているのを踏まえ、働く意欲と一定の技能を持つ外国人でカバーできるようにするのが狙い。政府は与党との調整を経て、3月中にも閣議決定したい考え。
出入国在留管理庁が2月22日、自民党の部会で方針を説明した。同庁は自動車運送業に関し、トラックとバス、タクシーの各ドライバーで構成するとともに、他に「鉄道」「林業」「木材産業」の3分野も追加する考えを示した。
特定技能制度は2019年に開始。ある程度の知識や経験を備えた「1号」と、熟練した技能を持った「2号」に分かれている。在留期間は1号が通算で5年、2号は更新回数に上限を設けていない。
今回追加を想定している4業種は、いずれも1号のみ受け入れ可能と設定し、自動車運送業や鉄道業は安全ルールの順守や事故時の対応などが求められるため、日本語能力試験で一定以上のレベルで合格するよう定めることを検討している。
1号の対象は現在、介護や自動車整備、航空、宿泊、外食など12分野となっている。4分野の追加が決まれば制度創設以来、初めてとなる。
ただ、物流企業からは外国人労働者をトラックドライバーに受け入れるのに積極的な意見が出る一方、与党内には運行の安全性確保などの面で慎重な声も聞かれる。
(藤原秀行)