製鉄所や発電所からの排出分を海上輸送へ、28年末の作業開始目指す
石油資源開発(JAPEX)、日揮ホールディングス(HD)、川崎汽船、JFEスチールの4社は2月26日、マレーシアでCCS(Carbon dioxide Capture and Storage、二酸化炭素=CO2=の回収・地下貯留)事業化に向け、日本を起点とする輸配送網の構築を目指す共同検討に、新たに中国電力と日本ガスラインが参加すると発表した。
製鉄所や発電所が排出するCO2をマレーシアに海上輸送し、同国でCCSを展開することを想定しており、2028年末の事業開始を目指す。
JAPEX、日揮HD、川崎汽船の3社は昨年9月、マレーシア国営の石油・ガス企業PETRONAS(ペトロナス)でCCSの展開を目指すPETRONAS CCS VenturesとマレーシアでCCSの事業化を検討する基本契約を締結。24年の基本設計作業開始とその後の設備建設工事を視野に入れた準備作業に着手した。
この3社が日本からのCO2受け入れを想定した調査や候補先との協議を実施した結果、昨年6月に共同検討へ参加したJFEスチールに加え、発電事業で出るCO2をさらに削減できる手段を探していた中国電力、日本国内で液化CO2の内航船輸送を進めている日本ガスラインの両社も参加することになった。
6社は事業化検討と連携し、JFEスチールや中国電力グループが保有する日本国内の製鉄所と発電所が排出しているCO2の分離・回収、液化CO2のマレーシアまでの海上輸送(瀬戸内エリアでの内航輸送を含む)と受け入れ、貯留までの一連のバリューチェーン構築について、必要な設備やコストなどの検討を進める。
事業化の検討に際しては、マレーシア国内のCO2を収集する陸上設備からのCO2輸送パイプラインの敷設や液化CO2の海上輸送、同国内での受け入れ設備・海洋圧入設備など、必要な設備の仕様や費用の積算、事業スキームの詳細について検討を進めている。
マレーシア国内で排出されるCO2に加えて、日本などマレーシア国外で回収されたCO2を海上輸送し、28年末に海底下への圧入・貯留を開始することを目指す。
(藤原秀行)