インプレス総研予測、他のビジネス含めた市場全体は28年度に9000億円突破見込む
インプレスグループでIT関連メディア事業を展開するインプレスのシンクタンク部門インプレス総合研究所は3月4日、国内のドローンビジネス市場の動向に関する調査結果を取りまとめた。
2023年度の日本国内のドローンビジネス市場規模は3854億円と推測。22年度の3111億円から743億円、23.9%増加した。
24年度には21.5%増の4684億円に伸び、28年度には9054億円に達すると見込む。年間平均成長率(2023~28年度)に換算すると、年18.6%に上る。
また、ドローンを使ったサービス分野のうち、物流分野では昨年度から引き続き、全国で実証実験をはじめとしたドローン物流の取り組みが数多く行われているものの、商用化している企業は一部にとどまり、まだ市場はほとんど立ち上がっていないと強調。「無人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル3)」に関するルール改正(レベル3.5飛行制度の新設)が行われたことが後押しとなり、25年度以降に市場が本格的に立ち上がっていくと説明している。
ドローンビジネスの市場は、機体とサービス、周辺サービスの3つで構成。23年度に規模が最も大きかったのはサービス市場で、前年度比27.6%増の2025億円だった。次いで機体市場が21.2%増の1051億円、周辺サービス市場が18.5%増の778億円とみている。
いずれも今後も拡大が見込まれ、28年度はサービス市場が5154億円(23~28年度の年間平均成長率20.6%増)と最も伸びる想定。機体市場が2281億円(16.8%増)、周辺サービス市場が1619億円(15.8%増)に達する見込み。
機体市場は、近年20~50kg程度の重量物を運ぶための機体が登場し、限られたエリア内で物を移動させる運搬でのドローンの利用が広がっていると指摘。土木・建築現場の資機材や農産物、農業資材のように、人が運ぶには重たい物をドローンで運べるため、従来の建設機械や農業機械のように、現場における生産性向上の手段としてドローンの利用が広がることが予想されるとみている。
併せて、24年度は「レベル4」(有人地帯上空の補助者なし目視外飛行)の飛行に欠かせない第一種型式認証に加え、利用者にとって操縦者技能証明との組み合わせで許可・承認を省略できる第二種型式認証のドローンが増加すると予測している。
サービス市場では、特に点検、土木・建築、農業などの分野におけるドローンの社会実装が着実に進んでいると解説。23年度の点検分野では、橋梁、一般住宅、大規模建造物などの点検用途での商用化・実用化がより一層進んでいるという。
またオフィスビル・商業施設の天井裏や下水道の管渠、ボイラーやダクトの内部など狭小空間でのドローン活用の認知が広まり、普及し始めているほか、水上や水中といったフィールドで活躍するドローンの利用が活発化していると説明。海洋構造物やダム、上下水道、農業水利施設の管路といった設備を対象にした点検を中心に利用が広がっていくとの見方を示している。
農業分野では、ドローンによる農薬散布が定着しつつある一方、画像解析やリモートセンシングといった精密農業の領域では普及が進まず、分野全体では市場拡大が鈍化していると分析している。
その他サービス分野の中ではエンタテイメント用途での活用が昨年度に引き続いて伸び、数百から数千のドローンを群制御して、機体のライトで夜空に文字や図形、アニメーションを描くドローンショーは全国各地で行われるなど、今後は広告媒体の1つとしても注目を集めていくとの見方を表明した。
周辺サービス市場では、無人航空機操縦者技能証明制度の開始に伴い、スクール事業が活発化しているのに加え、ドローンの産業利用が進むにつれて、バッテリーなどの消耗品や定期的なメンテナンス、業務環境に即した保険のバリエーションの増加などにより、周辺サービス市場は機体市場の拡大に合わせて引き続き成長していくと予想している。
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書名 | ドローンビジネス調査報告書2024 |
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著者 | 春原久徳、青山祐介、インプレス総合研究所 |
発行所 | 株式会社インプレス |
発売日 | 2024年3月22日(金)<予約受付中> |
価格 |
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判型 | A4判 モノクロ |
ページ数 | 508ページ |
ISBN | CD(PDF)+冊子版:978-4-295-01890-2 |
(藤原秀行)※いずれもインプレス総合研究所提供