アジア圏で宇宙輸送供給実現目指す
ロケット開発を手掛けるインターステラテクノロジズは4月15日、小型人工衛星の物流サービスを手掛けるイタリアのベンチャーD-Orbit(Dオービット)とロケット打ち上げサービス提供に関する包括契約を締結したと発表した。
両社は宇宙産業の大きな成長が見込まれるアジア圏で、市場拡大のボトルネックとなり得る宇宙輸送サービスの供給実現を目指す。
D-Orbitはこれまでに15回の軌道上ミッションを成功させ、累計140機以上の衛星の軌道投入実績を有している。複数の小型衛星を搭載できる「ION」を自社開発・製造し、衛星を事業者が希望する軌道に正確に投入する「衛星のラストマイルデリバリーサービス」、軌道上実証機会を提供する「ホスティングペイロードサービス」を展開している。
インターステラテクノロジズは、近年の市場拡大を牽引している小型サイズの衛星をターゲットにしたロケット「ZERO」の開発に注力している。民間単独では国内初となる宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」で得られた知見を土台に、一気通貫の開発・製造体制による「競争力のある価格」と、多様化する衛星のビジネスモデルに合わせて専用に打ち上げる「柔軟性」を強みにしている。
国内やアジア・オセアニア諸国の衛星事業者に対しては、発射場が近く、打上げまでの手間やコストがかからない「利便性」も提供価値として付与する計画。
両社と、両社に出資する丸紅は2020年2月、小型衛星放出システムの研究・開発を行う協業意向書を締結済み。今回の包括契約は打ち上げサービスに加えて、将来にわたりビジネス連携を深めることも明記しており、衛星の「ラストワンマイル」事業に取り組むD-Orbitと、ロケット打ち上げ事業を提供するインターステラテクノロジズがタッグを組み、より低価格で柔軟な宇宙輸送サービスを構築したい考えだ。
(インターステラテクノロジズ提供)
(藤原秀行)