ニトリグループ、自社店舗と物流拠点活用した屋根上太陽光発電プロジェクトを本格稼働

ニトリグループ、自社店舗と物流拠点活用した屋根上太陽光発電プロジェクトを本格稼働

温室効果ガス削減効果は年間5万t以上想定

ニトリホールディングスは6月7日、企業の脱炭素化支援を手掛けるSustech(東京港区 、サステック)と連携し、政府が市場価格を参照して再生可能エネルギー発電事業者に補助金を出す「FIP制度」を利用し、自社店舗や物流拠点の屋上を活用して太陽光発電を促進するプロジェクトを2024年度に本格稼働させたと発表した。

自社拠点を最大限生かして再生可能エネルギー由来の電力を作り出し、グループ拠点の電力を賄うとともに、余剰分の電力もグループ内で有効活用する。


屋根全面に敷き詰めた太陽光パネル(左から神奈川のニトリ藤枝店、愛知のニトリ小牧店)


プロジェクトの概要(いずれもニトリホールディングス提供)

2022年7月に導入を決定して以来、Sustechと協業しながら、FIP制度への申請や、余剰電力活用に必要な発電予測・需要予測精度の向上など、稼働に向けて準備を進めてきた。

全国に店舗網・物流網を持つニトリグループの強みを最大限活かし、太陽光パネルの設置に適したフリースタンディング型(独立型)店舗に加え、店舗の7倍の規模でパネルが設置可能な大型物流拠点などにも順次太陽光パネルを導入。全国規模で太陽光発電インフラの構築を目指す。

さらに、パネルを設置する拠点には、屋根全体にパネルを敷き詰めて、自拠点で使用する分以上の発電を行い、余剰電力をSustechが開発した電力プラットフォーム「ELIC」を活用して、パネルが設置できないニトリグループの他拠点(インテナント店舗や屋根上が駐車場の店舗など)に供給。生み出した電力を余すことなくグループ内で最大限活用できる仕組みを展開する。

事例調査によると、従来の屋根上太陽光発電では自拠点で必要となる電気使用量に合わせてパネルが設置されるため、屋根の面積に比して半分以上が活用されていない例が多い上、せっかく発電した電気についても、発電量と自拠点で必要な電力量のピークに時間差が生じることにより、使いきれずに無駄にしてしまうケースがあることが分かった。

そこで、最も環境負荷が低い仕組みとして、Sustechと連携して余剰電力活用型の再エネ循環スキームを構築。一般的な自家消費型の太陽光発電に比べて3倍以上の温室効果ガス削減が可能となったという。

<本プロジェクトの効果(2030年度 180拠点拡大時)>
・発電容量:総計80MW規模
・発電される電⼒:年間10万MWh(メガワット時)以上
(⼀般家庭約23,000世帯分の年間電⼒使⽤量に相当)
・温室効果ガス削減:5万t-CO2以上
(杉の木約568万本が1年間に吸収するCO2の量に相当)

※温室効果ガス削減効果について
・一般的な自家消費型の太陽光発電で賄える電力量(一般的なスキーム)
1店舗当たり年間電力消費量の20~30%程度
・『FIP制度』を利用した余剰電力活用型の太陽光発電で賄える電力量(本件スキーム)
1店舗当たり年間電力消費量の70~100%程度
(自家消費分30~40%程度、余剰電力分40~60%程度)

(藤原秀行)

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