CBRE調査、「2024年問題」は対策実施も不十分の認識最多
シービーアールイー(CBRE)は6月21日、物流施設利用に関するテナント企業の意識調査結果を公表した。
物流拠点の面積と数のいずれもテナント企業の拡張意欲が引き続き旺盛なことが浮き彫りとなった。
「2024年問題」への対応は「既に対策を実施済み」が物流企業が14%、荷主企業が4%にとどまるなど、まだ十分でないとの認識が根強いことを示した。また、具体的な対応として、物流企業と荷主企業のいずれも、配送スケジュールの変更や配送頻度の低減(積載率向上)に努めている向きが最も多いことが分かった。
調査は今年2月27日~3月12日にかけて、ウェブを使って実施、物流施設を使っている202社から回答を得た。物流企業は131人、荷主企業は71人だった。
賃料など固定費上昇予想、8割強に
調査結果によると、今後3年間の物流拠点計画を聞いたところ、倉庫の総面積について、「10%以上拡大」が31%、「0~10%拡大」が20%で合計すると51%で過半に到達した。
拠点数は「10%以上拡大」が10%、「0~10%拡大」が25%でトータル35%だった。
23年の調査時は倉庫の総面積で58%、拠点数で38%だった。24年はいずれも23年から若干割合が下がっているものの、依然拡張意欲が強いことをうかがわせた。
今後3年間の物流拠点に関する計画については(複数選択可)、既存や今後開発予定のマルチテナント型物流施設が5割を超えて断トツ。次いで「自社施設建設のため土地を購入」と「自社施設の建て替え・増設」が約2割、「BTS型の賃借(専用センター)」が2割弱と続いた。
一方、今後3年間の物流拠点運営費用の見通しを訪ねたところ、「賃料など固定費」は87%が「今よりも上がる」と予想。23年調査の77%からさら上昇した。
「水道光熱費、保険など変動費」も90%が「今より上がる」を選択。23年の87%から小幅ながら上昇した。
「輸送・配送費」は96%(23年時点95%)、「人件費」は98%(同96%)と非常に高い割合で上昇を見込んでいた。
2024年問題対応の実施状況は、「対策は実施しているが、まだ十分でない」が物流企業58%・荷主企業48%、「対策を検討しているが、まだ実施していない」が17%・21%で、テナント企業の間で24年問題への具体的な対応が遅れているとの認識が強いことを示唆している。
具体的な対策(複数回答可)は、「配送スケジュールの変更、配送頻度の低減(積載率を上げる)」が物流企業は5割、荷主企業も4割を超えてトップ。「ドライバーの増員」、「他社との共同配送」、「中間・中継拠点の新設・増設」などと続いている。
(藤原秀行)※いずれもCBRE資料より引用