政府が通商白書で指摘、分散化の重要性訴え
政府は7月9日の閣議で、2024年版の通商白書を取りまとめた。
貿易の現状に関し、特定の国に輸入を依存するリスクが顕在化しており、保護主義が台頭することへの懸念も高まっていると指摘。日本はG7(主要7カ国)全体と比較しても特定国への依存度合いが強く、多くの品目は中国に頼っているとして、関係国と「透明・強靭で持続可能なサプライチェーン」を構築する重要性を強調し、輸入元の分散化を図るよう訴えた。
白書は、世界経済の不確実性が高まる中、米中両国の対立やロシアのウクライナ侵攻で「世界経済の分断の深まりが懸念される」と分析。
輸入先がどの程度分散しているかを示す「ハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)」を試算した結果、主要な約4300品目について、2022年の実績値で、輸入先のシェアで過半を占めている国が必ず1カ国あることを意味するHHI50以上のものが日本は4割近くに達し、約1割のドイツ、約2割の米国を大きく上回ったと説明した。G7の平均では5%程度だった。
また、同じ品目について、輸入シェア(金額ベース)が過半を占めている国をピックアップしたところ、日本は中国が3割強の1406品目で該当しており、米国(567品目)やドイツ(221品目)が中国に過半を頼っている品目を大きく上回ったことが分かった。
日本はIHIが50を超え、特定国への輸入依存度が高い品目を見ると、機械類や有機化学品、レアメタルなどが目立った。
白書は「集中度の高さは特定の国との経済関係の結び付きの強さを示している一方で、過度の依存はサプライチェーン上のリスク。輸入元の分散化が重要」と解説した。
(白書より引用)
(藤原秀行)