米国以外で建造の自動車船に入港料設定を表明

米国以外で建造の自動車船に入港料設定を表明

通商代表部が制度概要公表、LNG輸送も一部規制実施を想定

米通商代表部(USTR)は4月17日、通商法301条を根拠として、今年10月から中国で建造した船舶や中国籍の船舶が米国の港湾に入港する際に入港料を課す制度の概要を公表した。

入港料は船形に基づいて決まり、今後段階的に引き上げる方針を表明。同時に、2月にUSTRが発表した当初の規制案は、中国関連線の全てを対象としていたが、今回は4000TEU(20フィート標準コンテナ換算)以下のコンテナ船は対象外に位置付けるなど、一部の規制を緩和している。

 
 

ただ、新たに、米国以外で建造した自動車船やLNG(液化天然ガス)輸送船が規制対象に加わっており、日本の経済界からは実質的な自動車やエネルギー輸入への関税措置と懸念や反発の声が出ている。

入港料の設定分は船社だけでは負担しきれないことも予想され、海上運賃への価格転嫁が進めば、米国経済にとっても逆風になる公算が大きいが、トランプ政権がどの程度、影響を見極めているのかは不明。

USTRが公表した案によると、入港料は、中国籍の船舶については純トン数によって計算する。中国で建造した船舶は純トン数と荷揚げするコンテナ数のそれぞれで計算した上で、いずれかの高い方を課す。

当初案では船社に対し、中国で建造した船の保有比率や中国への新造船発注残に応じて入港料を変える仕組みを設けることを打ち出していたが、この日の案では削除している。

中国籍の船舶は、本社や親会社を香港・マカオを含めた中国に置いている企業や、中国国民が所有・支配している会社などを規定する。

一方、自動車船は米国以外で建造した船を対象に、今年10月以降、自動車積載量単位(CEU)当たり150ドルを入港料として設定。米国の造船所に同等かそれ以上のCEUを備える自動車船を新規で発注した場合は、当該船舶の入港料徴収を3年間免除する。

 
 

LNG船は2029年4月以降、米国から輸出するLNGの一部に米国で建造したり、米国籍だったりする船舶で取り扱うことを義務化する。

USTRは自動車船やLNG船への規制強化については、通商法301条で処理する根拠を明確には示しておらず、今後各国政府から強い反発を招きそうだ。

(藤原秀行)

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