気象庁、引き続き備えを要請
気象庁は8月15日、南海トラフ地震臨時情報に関し、8月15日の午後5時をもって「特別な注意の呼びかけ」を終了したと発表した。
宮崎県沖の日向灘で8月8日にマグニチュード(M)7.1の地震が発生、最大震度6弱を観測したのを受け、気象庁は大規模地震の起こる可能性が平常時より相対的に高まっているとして同日、初めて南海トラフ地震臨時情報の「注意」を発表した。
南海トラフ地震臨時情報は2017年に政府が運用を開始。気象庁が監視している、南海トラフ地震の震源地として想定される地域でM6.8以上など大きな地震が起きると、まず南海トラフ地震臨時情報を「調査中」として発表、専門家による検討会を開いてを評価した上で、自治体や住民らの注意を喚起する。
その後、評価の結果として最短で2時間後、一部の住民に事前避難を求める「警戒」、地震への備えを再確認してすぐに避難できるようにすることを呼び掛ける「注意」のいずれかを出す。ともに対象期間は1週間を基本としている。そのまま「調査終了」となる場合もある。
気象庁は8月15日の発表で「8日の地震の発生後、南海トラフ地震の想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていない」と説明。
同時に、南海トラフ沿いではいつ大規模地震が発生してもおかしくないことに留意し、「日頃からの地震への備え」を引き続き実施するよう国民に要請している。
気象庁が大地震への「注意」を公表したのを受け、南海トラフ地震が発生する可能性があるエリアでは、海水浴場を閉鎖したり、鉄道会社が特急列車の運休や走行速度減速を実施したりと波紋が広がった。経済の面でも観光地がお盆の書き入れ時に、ホテルや旅館の宿泊予約キャンセルが相次ぐなど打撃を受けた。
「注意」に関しては、自治体や住民の対応に関しては法律でも明記されておらず、各地域任せになっていることが背景にある。関係自治体の住民らなどからも「警戒するのは当然」「恐怖心をあおるべきではない」など、意見が分かれており、気象庁の運用が適正だったかどうか検証が不可欠だ。
(藤原秀行)