「標準的な運賃」平均8%引き上げへ、待機2時間以上は5割増し★続報

「標準的な運賃」平均8%引き上げへ、待機2時間以上は5割増し★続報

国交省の官民検討会が見直し提言、年度内に改正目指す

国土交通省は12月15日、改正貨物自動車運送事業法に基づいて告示している「標準的な運賃」と「標準運送約款」に関し、官民の検討会が取りまとめた見直しの提言を公表した。

標準的な運賃については、地域ごとに設定している距離制・時間制の運賃表(タリフ)で打ち出している運賃を平均8%程度引き上げるとともに、算定根拠となる原価のうちの燃料費を1リットル当たり120 円に変更し、燃料サーチャージも120 円を基準価格に設定するよう提案している。

併せて、待機時間料に加え、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を加算することや、「下請け手数料」を設定することなども打ち出している。

国交省は提言を踏まえ、「標準的な運賃」は2024年1月以降、審議会に諮った上で23年度中の改正を目指す。「標準運賃約款」は近くパブリックコメント(一般からの意見募集)を開始する予定。

有料道路使わない場合も割増に

「標準的な運賃」や「標準運賃約款」に関しては、政府が6月にまとめたトラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応に関する政策パッケージの中で、ドライバーの業務負荷軽減や賃金改善を後押しするため、いずれも2023年中に内容を見直す方針を打ち出していた。官民の検討会が今年8月から議論を進めていた。

提言では、燃油の高騰などコスト上昇の運賃や賃金への転嫁が進んでいない現下の市場動向を踏まえ、運賃表改定により距離制運賃は平均8.7%、時間制運賃は基礎額で平均7.1%上昇するなどと指摘。燃料費や燃料サーチャージの基準も引き上げることで、運賃や賃金の適正化を後押ししていく必要性を強調している。

併せて、物流センターで30分以上の待機が発生した場合に加算する待機時間料も引き上げるとともに、フォークリフトやユニックを使って行う荷役作業や手積み・手降ろしの作業に対しても「積込料・取卸料」を新設。

政府が今年6月の政策パッケージと並行して取りまとめた荷主や物流事業者向けのガイドラインで、荷降ろしなどの作業を原則2時間以内に終わらせるよう求めていることなどに関連し、待機時間料金などが2時間を超える場合は料金を5割増しにするよう主張している。

下請けに発注する際の手数料を設けることや、共同輸配送を促進するために貸切や特別積み合わせに加えて「個建運賃」も規定すること、「速達」とする場合や荷主側が有料道路の利用を認めない場合に割増運賃を設定することも列挙している。

さらに、特殊車両割増となる対象を現行の冷蔵車・冷蔵車に加え、海上コンテナ輸送車、セメントバルク車、ダンプ車、コンクリートミキサー車、石油や高圧ガスなどのタンク車も含めるよう提案している。

「標準運送約款」についても、「標準的な運賃」の見直し内容と平仄を合わせ、契約にない作業をドライバーが荷主から求められた場合に積込料・取卸料を収受する旨を明記することなどを要求している。契約の書面化・電子化についても定めることを訴えている。

(藤原秀行)

検討会の提言内容はコチラから(国交省ホームページ)

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