業界2団体、荷降ろし時間大幅短縮し「2024年問題」対応図る
日本製紙連合会(製紙連)と全国段ボール工業組合連合会(全段連)は8月20日、製紙業界と段ボール業界の「2024年問題」に対処するため、RFIDを活用した配送情報ポータルシステム(DIPs、Delivery Information Portal System)を構築したと発表した。
両団体はDIPsを活用することで、製紙会社が段ボール会社に段ボール原紙を納品する際の検収作業を効率化し、荷降ろし全体に要する時間を短縮、2024年問題の解消を後押しできると見込む。DIPs導入企業を拡大し、製紙業界と段ボール業界における物流の効率化をより一層促進していくことを狙っている。
物流事業者が製紙会社から段ボール原紙を段ボール製造会社に輸送する際、着荷主の段ボール製造会社は受け入れの際、原紙管理を自社内で行うための自社固有の情報を記載したラベルを貼付したり、段ボール原紙に直接情報を記載したりする作業をトラックドライバーに依頼している事業所が多く存在している。
また、検収に関しては1本ずつ荷降ろしの際に確認・検収作業を行うため、トラックドライバー、荷受け作業者ともに時間を取られており、前のトラックの作業終了を待つ待機時間も発生している。
さらに、時間外労働の問題にととまらず、検収時の積み上げた商品の間を1つ1つ見て回る必要があり、安全面でも留意しなければならない。荷受け作業者は受け入れた段ボール原紙を自社システムに登録する入力作業も手掛けている。
DIPsは、製紙業界で標準EDI(電子データ交換)を展開するカミネットがサービスを運営(開発はJSOLが担当)する。DIPsと標準EDIを連携させるとともに、RFIDを採用することで、作業の省力化を実現できると見込む。
また、DIPsはバーコードの読み取りにも対応しているため、段ボール原紙のラベルがRFIDに対応していなくても運用できるようになっている。
具体的には、段ボール製造会社が登録した注文明細と、EDIを通じて登録した製紙会社の出荷明細情報をDIPsでひも付けし、読み取ったRFIDの情報と連携させる。これまでトラックドライバーが注文明細情報と出荷明細情報を照合するために行っていた、現品への情報記載やラベルの貼付作業が不要となるほか、伝票の照合作業はRFIDリーダーで読み取るだけとなるため、検収作業の時間が大幅に減らせる。
トラックの待機時間を短縮すると同時に、受け入れ時に使用したRFIDを段ボール製造会社の現品管理で活用することも可能になる。
(プレスリリースより引用)
(藤原秀行)