カナダのアリマンタシォン、6兆円前後でセブン&アイに買収提案も受け入れ拒否★続報

カナダのアリマンタシォン、6兆円前後でセブン&アイに買収提案も受け入れ拒否★続報

内容を初公開、「最善の利益に資する内容でない」と書簡送付

セブン&アイ・ホールディングスは9月6日、カナダのコンビニやガソリンスタンド運営大手アリマンタシォン・クシュタールから買収の提案を受けていることに関し、同社に同日、書簡で回答したと発表した。

書簡によると、アリマンタシォンはセブンの発行済み全株式を1株当たり14.86ドルで、現金で取得することを提案したという。アリマンタシォンが買収を提案した当時の為替レートで換算すると、1株当たりの取得額は2200~2400円程度になるとみられ、今年2月末時点のセブンの発行済み株式総数(約26億3300万株)を基に単純計算すると、買収総額は6兆円前後に上るもよう。

セブンがアリマンタシォンの買収提案内容を明らかにしたのは初めて。

書簡はアリマンタシォンの提案について、独立社外取締役による特別委員会を設置し、検討してきた結果、「当社株主およびその他のステークホルダーの最善の利益に資する提案ではない、と全会一致の結論に至った」と説明。現時点では受け入れられないとの姿勢を明示した。

その背景として、提案内容がセブンの企業価値を「著しく過小評価している」と指摘。買収額が不十分との認識を示した。アリマンタシォンの買収構想が明らかになって以降、セブン&アイの株価は上昇し、時価総額が買収提案当時より増えていることから、セブン&アイが買収額に満足しなかった可能性がある。

また、「米国の競争法当局との関係で直面するであろう複数の重要な課題について適切に考慮されておらず、クロージングの確実性が担保されていない。規制上のハードルを乗り越えるために必要となる時間軸についての説明や、規制上の承認を得るためには各国政府を相手取った訴訟を含めあらゆる手段を講じる用意があるのかどうかといった点についての説明も欠いている」と懸念を表明した。

一方、「当社の株主およびその他のステークホルダーにとって最善の利益をもたらすいかなる提案についても真摯に検討をする用意がある」と説明。今後もアリマンタシォンと交渉を続ける姿勢をにじませた。

アリマンタシォンはトロントの証券取引所に上場し、欧米を中心に約30カ国・地域で「クシュタール」や「サークルK」などのブランドの約1万7000店舗を運営している。2024年4月期の売上高はガソリンスタンド運営分も含めると692億6350万ドル(約10兆3900億円)だった。

(藤原秀行)

経営/業界動向カテゴリの最新記事