国交省が特別保安監査へ
JR貨物は9月10日、貨車や機関車を整備する際、車輪に軸を取り付けた「輪軸」を組み立てる作業でデータを改ざんするなどの不正を行っていたと発表した。
取り付けの際、軸を車輪に押し込む力が基準値の上限を超えた場合は傷が付いて強度が弱まってしまう可能性があるが、基準値内に収まったように数値を改ざん、検査記録表に記入するなどの不正行為があった。上限を超えたのにそのままにしていたケースも見られた。
国土交通省は同日、JR貨物からの報告を受け、全車両の輪軸について、車輪に軸を押し込む圧力が適正だったかどうかなどを緊急に点検するよう指示したことを明らかにするとともに、基準値の上限を超えていた輪軸を備えている車両は安全を確認できるまで使用しないよう命じた。
国交省は9月11日、鉄道事業法に基づき、JR貨物に特別保安監査を実施、安全管理体制に問題がないかを調査する。
JR貨物によると、不正を行っていたのは北海道支社輪西車両所(北海道室蘭市)、関東支社川崎車両所(川崎市)、関西支社広島車両所(広島市)の3カ所。
今年7月、山口県の新山口駅で貨物列車の脱線事故が起きた後、広島車両所で車輪に軸を押し込む作業をしていた際、社員からの申告があり不正が発覚したという。
不正の件数は輪西車両所が貨車309両、川崎車両所が貨車218両、広島車両所が機関車4両と貨車33両だった。3カ所とも作業担当者は基準値を若干超過する分には問題がないと認識していた。
広島車両所では改ざんは2014年ごろから続けられていたという。他の2車両所は現在調査中。
不正が判明した車両は運行を停止し、輪軸の安全性を検査する。3車両所の輪軸組み立て作業は当面停止する。
JR貨物によれば、新山口駅構内で脱線事故を起こした車両も、データ改ざんのあった輪軸を搭載していたという。
(藤原秀行)