分解して水素活用、海運業界の脱炭素化促進
アンモニアを使った発電システムを手掛ける米国のスタートアップ、アモジー(Amogy)は9月24日、温室効果ガスを出さないカーボンフリーのアンモニア発電システムによる船舶の航行に成功したと発表した。同社は世界で初めてと強調している。
1957年製のタグボートを改造した「NH3 Kraken(NH3 クラーケン)」にアモジーのアンモニア発電技術を載せ、ニューヨーク市を流れるハドソン川の支流を運航した。
アモジーは国際海事機関(IMO)が掲げる、2050年までの国際海運からの温室効果ガス排出ゼロの目標に近づくものだと指摘。アンモニアがカーボンフリーの船舶燃料となり得ることが証明されたとアピールしている。
アモジーのカーボンフリーのアンモニア発電システムによる船舶「NH3 Kraken」(同社提供)
アモジーはこれまでドローンや農業用トラクター、セミトレーラーで同様にアンモニア発電システム活用の実証実験を展開してきた。今回の成果をプロジェクトの改良や新製品開発を含む、自社技術の実用化に活用していく構え。
アモジーは既に、韓国の造船大手Hanwha Ocean(ハンファオーシャン)などと契約を結び、取り組みを進めているという。
アモジーが特許を持つアンモニア発電システムは、液体アンモニアを構成要素の水素と窒素に分解した上で、水素を燃料電池に送り込み、二酸化炭素を排出することなく発電する。海運など脱炭素化が難しい業界や定置型発電に向けて、持続可能でクリーンなエネルギーソリューションの提供が可能になると見込む。
(藤原秀行)