不正行為の公益通報者へ報復の解雇・懲戒処分、刑事罰設定を提唱

不正行為の公益通報者へ報復の解雇・懲戒処分、刑事罰設定を提唱

消費者庁の有識者検討会が制度見直しで報告書案

消費者庁は12月24日、企業や官公庁の不正行為の告発者(通報者)を解雇などから守る公益通報者保護制度を見直す有識者検討会(座長・山本隆司東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催し、報告書案を提示、出席者から大筋で了解を得た。

報告書案は、企業の内部窓口や関連行政機関などへ通報したことを理由に、個人や事業者が報復や隠ぺいのため通報者を解雇したり懲戒処分を出したりした場合、刑事罰を科すよう提唱。

併せて、正当な理由がないのに通報者を探し出そうとしたり、従業員に通報しないよう約束させたりする行為も禁じるよう求めている。

現状の公益通報者保護制度は、個人や事業者が通報者へ不利益な取り扱いをした場合の罰則を定めておらず、抑止効果に限界があると司法関係者や消費者団体などから不満の声が出ていた。

消費者庁は近く報告書を正式決定した上で、早ければ2025年の通常国会に公益通報者保護法の改正案を提出する予定。

報告書案は不利益な扱いをされた通報者が事業者を相手取って民事裁判を起こした場合、現状では通報者側が処分の違法性を立証しなければいけないが、事業者の側が立証責任を負うようにすべきだと明記。

このほか、内部通報の窓口に担当者を置かないなど、法律に違反した事業者が消費者庁からの指導や助言に従わなかった場合、より強く命令し、立ち入り検査もできるようにするとともに、命令にも従わない場合は刑事罰を科せるようにすることを提唱している。

内部通報した人へ行うことを禁じる不利益な取り扱いでは、配置転換や嫌がらせなども対象に含めるべきとの声が司法関係者らから出ていたが、報告書案は人事異動が定期的に行われていて不当なものかどうか判断が難しいことなどを理由に、対象外とした。

(藤原秀行)

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