従来船型より積載・燃費性能向上
ツネイシホールディングス(HD)は3月24日、尾道造船(神戸市)と常石造船(広島県福山市)が4万2200トン型ばら積み貨物船「Bingo42」を共同開発したと発表した。
ツネイシHDは共同開発に至った背景として、両社とも新たな船舶の開発設計負荷に問題意識を持っていたと説明。一般的に、日本国内の造船所は、基本設計から生産設計まで各社個別で行うため、新たに船舶の開発設計を行う場合、多くの設計作業が伴い、設計負荷が掛かっており、特に今後は代替燃料船の対応などで、より一層設計負荷が重くなることが見込まれ、顧客価値をより高めるには限られた開発設計リソースをどのような船舶や技術の開発に投入するかが重要と指摘している。
尾道と常石は地理的に近いことを活かし、協力して共同開発に踏み出せると判断した。
共同開発の対象船型は両社がラインアップしているハンディーサイズのばら積み貨物船。両社のこれまでの設計・建造実績からのノウハウや開発に関する思想、ポリシーを共有し、従来船型からの価値をどのように高めるかの議論を重ねてきた。
これまでの船型から全長を3m延長し船型を最適化したことにより、尾道の40BCからは積載能力、燃費性能向上し、常石のTESS42からは燃費性能向上を実現した。さらに省エネ付加物として、日本郵船系のMTIと常石が共同開発した燃料節減効果の高い省エネ装置「MT-FAST」を採用し、両社の従来船型から推進性能の改善を達成、燃費性能を向上させた。
新造船を対象とした温室効果ガス排出削減の国際的な環境規制「EEDI2」では、リファレンスライン(IMO=国際海事機関=によって1999~2008年のデータを活用して船種ごとに計算したEEDIの平均線)より35%以上の削減を達成しており、メタノール二元燃料化も想定したデザインを採用している。
船の仕様や各社設備に左右される構造設計や建造、営業は各社で実施し、コンセプト設計は統一することで同ブランドでの受注・建造によりシェア拡大も図ります。
共同開発したBingo42(ツネイシHD提供)
(藤原秀行)