SGHD、新中計は「宅配便」「低温」「グローバル」拡大を柱に設定

SGHD、新中計は「宅配便」「低温」「グローバル」拡大を柱に設定

27年度に売上高2割増の1.83兆円目指す

SGホールディングス(HD)は3月27日、2025~27年度を対象とする新たな中期経営計画「SGH Story2027」を公表した。

基本方針として「トータルロジスティクスの高度化とグローバル物流の基盤拡大」を表明。実現に向けた重点戦略には「宅配便のサービス競争力の拡大と効率化による収益基盤の強化」「低温物流ソリューションの拡大による国内屈指のコールドチェーン構築」「グローバル物流の顧客基盤拡大と収益性向上」など9点を列挙している。

 
 

これまでに買収した低温物流大手のC&Fロジホールディングスや台湾の航空フォワーダー大手モリソンなどのリソースを最大限活用する姿勢を前面に打ち出している。

経営目標として、連結営業収益(売上高に相当)を24年度(25年3月期)予想の1兆4780億円から最終の27年度(28年3月期)に24%増の1兆8300億円、営業利益を870億円から26%増の1100億円まで引き上げることを掲げている。ROE(自己資本利益率)は12%、ROIC(投下資本利益率)は8%をそれぞれ目指す。

新中計はデリバリー事業の宅配便について、取扱個数を24年度見込みの13億個から27年度は13.5億個に、平均単価を661円から702円にそれぞれ高めることを目指す方針を表明。消費者が立ち寄る場所にECで購入した商品を届ける「リアルコマース」や越境EC、食品などの低温商品の取り扱いを伸ばしていく流れを設定している。

併せて、宅配以外の輸送サービスに関しても、付加価値輸送サービスのTMSの売上高を2割増の1500億円まで高めるシナリオを描いており、物流市場全体で輸送サービスを拡大。並行して、既に公表している東京、関西、九州の中継センター3カ所の新設など輸配送インフラの維持・強化を進める。

また、委託単価見直し、事業承継窓口の設置などでパートナーの物流企業への支援を拡充し、関係維持で人手不足などの課題を乗り切る方向性を明示。委託費は3カ年の累計で120億円増えると見積もっているが、必要不可欠な投資と位置付けている。

加えて、宅配などの事業のコスト競争力強化のため、AIを生かした荷積みロボットを採用。年間で7億~8億円のコスト抑制効果を見込んでいる。

 
 

低温物流は食品などのEC取り扱い拡大、共同配送の展開、日本と海外を結ぶ低温物流サービスの展開などで、同領域のソリューションの営業収益を27年度に現状比25%増の2200億円、営業利益を65%増の130億円まで積み増したい考えだ。

低温領域以外の3PLも、半導体や機械部品といった成長領域に注力するほか、モリソンとの連携によるハイテク領域の3PL拡大も目指し、27年度に国内3PL売上高を2割増の700億円まで伸ばすことを念頭に置いている。従業員1人当たりの営業利益は1.6倍に高める計画。

グローバル物流はモリソンとタッグを組み、新規顧客獲得やアジア発着貨物の取り込みなどを進め、傘下のスリランカ・エクスポランカグループのフォワーディングで扱う貨物量を航空は2割増の17.5万t、海上は3割増の23万5000TEU(20フィート標準コンテナ換算)まで拡大させることを想定している。

(藤原秀行)

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