【独自取材】「東京五輪時に警備や緊急物資輸送でドローン活用を」

【独自取材】「東京五輪時に警備や緊急物資輸送でドローン活用を」

日本無人機運行管理コンソーシアム・鈴木代表が国内外へ性能アピールに期待

ドローン(小型無人機)や「空飛ぶ車」などの普及促進を図る総合研究奨励会 日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)の鈴木真二代表(東京大未来ビジョン研究センター特任教授)は7月3日、都内の東京大本郷キャンパス内で開かれたJUTM研究会の後、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。

鈴木代表は、世界の目が日本に集まる2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関連して「空撮以外にも、例えば夜間の警備や緊急時の物資輸送などに使うことを提案、議論をしていければいいかなと思う」と語り、さまざまな用途にドローンを活用して技術力の高さや安全性をアピール、荷物配送などの実現に弾みを付けることに強い期待を示した。

また、政府や民間企業が目指している都市部でのドローン物流実現にJUTMとしても貢献していけるよう、多様な活動を引き続き展開していく意向を表明した。


鈴木代表(2019年2月撮影)

安全対策と不正利用防止を両輪で推進

鈴木代表は「オリンピック・パラリンピックの時は危ないから使わないようにしようと言えばそれで済んでしまうだろうが、それでは今まで(産業利用を)推進してきた動きにブレーキが掛かってしまう」と指摘。

「実際に利用のシーンを国内外の方々に見ていただければ、いろんな使い方ができるということがより浸透していくのではないか。安全に管理しながら飛ばせる姿をご理解いただけるところに持っていければいいと思う」と述べ、必要に応じてAED(自動体外式除細動器)をすぐにドローンで現場へ届けられるよう待機するなどの使い方を提示した。

また、政府がドローンに関し、操縦者から見えない遠距離を飛ばす「目視外飛行」を都市部など有人地帯で実現する目標として22年度をめどとする方針を打ち出したことを受け、「政府もわれわれのような民間の専門家グループの議論も踏まえて(制度設計の基本方針などを)検討してくれる方向となっているので、ご期待に応えられるよう責任を持って取り組んでいきたい」と語り、JUTMとしても最大限協力していく決意を表明。

併せて、目標実現に向け「機体の落下防止策などの安全対策と同時に、セキュリティーとして、不正利用に対する管理をきちんとしていくことも両輪で進めなければいけない。悪い目的で使おうとする動きも当然あり得る」と解説。機体の事前登録制度の整備や、機体から出す識別信号で所有者や飛行目的を把握できる「リモートID(遠隔機体識別)」の導入などを推進する必要性を強調した。

政府の官民検討会がこのほど策定した中間取りまとめで、人口の少ない山間部や離島でドローン物流サービスを早期に実用化できるよう、収益を挙げられるビジネスモデル構築の必要性を訴えた点については「ビジネスモデルはどちらかといえば事業者の競争領域だし、各社が独自のアイデアを検討されるところもあるので、ビジネスを展開しやすい環境を整備していくのがJUTMの目的」と語った。

(藤原秀行)

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