NAAが新中計公表、国際航空貨物量は7%増の210万t目指す
成田国際空港会社(NAA)は5月29日、2025~27年度を対象とするグループの中期経営計画「Gear Up NRT」を公表した。
前中計で成田空港の「2030年にありたい姿」として掲げている「クリエイション(Creation)」「サステナビリティ(Sustainability)」「レジリエンス(Resillience)」の3点の達成に向け、新中計でも引き続き施策に注力していく方向性を明示。
25~27年度の3年間を「新時代の成田空港に向けた変革の加速期間」と位置付け、“価値創造空港”に進化させていくことを打ち出している。
NAAはインバウンド(訪日外国人観光客)の増加をにらみ、滑走路の新設・延伸や新貨物地区の整備などを進める計画を策定しており、実現のため諸施策を着実に進める考えをあらためて全面に示した格好だ。
最終の27年度の経営目標としては、航空機発着回数を24年度実績の24.5万回から29万回(このうち国際線は19.5万回から23.5万回)、国際航空貨物量は196万tから7%増の210万t、連結営業利益は422億円から470億円以上へ引き上げることを設定している。設備投資は3年間で総額5850億円、このうち機能強化で3600億円、成長投資などに1100億円を充てる。
具体策として、デジタル技術を活用した空港運用の高度化・効率化、インバウンドの取り込みのための航空ネットワーク拡充、「国際貨物ハブ拠点化」のための新貨物地区の基本計画策定や空港隣接地域と連携した物流拠点化の推進、ビジネスジェット専用ターミナルの改修・増設による処理能力向上、周辺に住居や商業施設、研究機関などを集積した「エアポートシティ」構想の具体化などを列挙している。
気候変動問題への対応として、環境負荷が低い航空燃料SAFの導入・理想促進、低公害車両の積極的導入などを示している。
このほか、移動型無人販売ロボットやカメラを使った預け入れ手荷物の自動判別システムなど、成田空港を実験場とした実証実験の推進なども盛り込んでいる。
(藤原秀行)