移動体検知システム活用、人手不足カバー図る
三菱ふそうトラック・バスと小糸製作所は7月3日、高性能のセンサー「LiDAR(ライダー)」の技術を生かし、製造現場の動線最適化を目指す実証実験を始めたと発表した。
小糸製作所の移動体検知システム「ILLUMIERE(イルミエル)」を活用し、三菱ふそうの製造現場で人や車両の動きを効率的・客観的にデジタル技術で測定。三菱ふそうは様々な工場改善の取り組みで蓄積した知見を基に、得たデータを分析して最適な動線と物流計画を検討し、人手不足のカバーを図る。
さらに、両社はLiDAR技術の新たな活用法の開発と、取得したデータの分析手法を共同で検討し、動線分析技術の転用促進を目指す。
(プレスリリースより引用)
三菱ふそうの中津工場(神奈川県愛川町)のトランスミッションギア加工工程で3台のイルミエルを投入、作業者の動線解析をスタートした。同工場の実証実験の成果を踏まえ、川崎製作所(川崎市)をはじめとする他拠点への展開についても、今後積極的に検討する予定。
三菱ふそうは実証の結果を踏まえた製造現場の最適化によって、作業員の業務効率化や工場内の安全性向上、中長期的なコスト抑制につなげていきたい考えだ。
川崎製作所は数千人が働き、数百台の車両が稼働しており、中津工場も数百人の作業者と数十台の車両を有している。これまで製造現場の人・車両の動線追跡は、人の目によるアナログな追跡が主で、客観的に多くの人や車両を分析することは非常に困難だった。また、デジタル技術を活用したソリューションは費用対効果の面に課題があった。
イルミエルはLiDARモジュールで周囲の移動体の位置情報を点群データとして取得し、移動体を人や車両に分類して動きを把握する。LiDAR技術によってこれまでAIカメラで実現できなかった移動体の位置情報を広範囲・正確に把握できる上、測定データの蓄積によって分析への活用が可能という。
(藤原秀行)