物流や食品など向け、“脱ドライアイス輸送”提案
荏原製作所は7月31日、マイナス100~120°Cの超低温域を安定的に維持する超低温フリーザ UDF4型を発売すると発表した。
再利用型専用蓄冷剤と組み合わせて利用することで、従来のドライアイスを上回る保冷性能を発揮し、“脱ドライアイス輸送”を実現できると想定。物流・食品・医療・研究分野で拡大するコールドチェーン(冷凍・冷蔵輸送)需要をカバーし、ドライアイスに替わる安定的かつ持続的な超低温輸送としてアピールしていく構え。
近年、ドライアイスの原料となる高濃度CO2を供給する製油所の閉鎖やコールドチェーン需要の拡大に伴い、ドライアイスの国内供給が不安定化。その影響で物流・食品・医療・研究分野は安定調達とコスト抑制が大きな課題になっているため、新製品の開発にこぎ着けた。
国内に流通する一般的な超低温フリーザ(マイナス85°C)を大幅に上回る水準を実現。蓄冷剤を超低温で凍結・保持できるため、ワクチン輸送など厳格な温度管理が求められる場面でも長時間の温度維持が可能という。
また、上部開閉扉を採用しており、前扉時の開閉スペースが不要なため、必要な空間を最小化。物流センターや医薬・食品倉庫の限られたスペースにも設置できるとみている。
超低温フリーザUDF4型の外観(荏原製作所提供)
フリーザ内で凍結した蓄冷剤を保冷バッグやクールコンテナに移し替えれば、配送車に積載した後も商品温度をマイナス60°C以下で長時間維持し、ドライアイスを使わないラストワンマイル配送を実現できると強調している。
134Lの大容量で最大60個の蓄冷剤を一括凍結・収納することができる(Lタイプ 200×280×25mmの場合)。蓄冷剤を必要分だけ一括凍結できるため補充回数が減り、省人化につながるとともに、庫内に残した蓄冷剤により停電時の保冷時間も延ばせると計画している。
交換目安約2年の再利用設計で、ドライアイス使用時に比べ年間のランニングコストを最大70%削減できると見積もっており、CO2排出量と廃棄物の低減にも寄与するとアピール。
蓄冷剤と市販の保冷バッグでマイナス60°C以下の環境を48時間保持するため、停電時や被災地での食料の保管にも投入できると考えている。
項目 | 内容 |
冷却性能※2 | -120 °C~-130 °C |
冷媒 | 特殊混合冷媒(HFC) |
内容量 | 134 L(有効容積122.5 L) |
外形寸法 | W 920 × D 935 × H 1036 mm |
質量 | 205 kg |
電源 | 三相 AC 200V 50/60 Hz |
消費電力 | 最大3.0 kW/安定時2.7 kW |
定格電流 | ピーク時10.5 A/安定時8.5 A |
(藤原秀行)