Shippio・佐藤氏ら、「通関DX」促進に引き続き注力表明

Shippio・佐藤氏ら、「通関DX」促進に引き続き注力表明

新サービス提供、担当者の業務負荷軽減図る

Shippioの佐藤孝徳代表取締役らは9月4日、東京都内の新本社で記者会見し、貿易関係の業務効率化支援サービスの一環として、通関領域のDX促進により注力していく方針を明らかにした。

佐藤氏は独立行政法人情報処理推進機構 (IPA)が取りまとめた「DX白書2023」の結果を引用。事業領域ごとのDXの取り組み状況を聞いた結果、日本企業は「サプライチェーン」に関しては実証実験(PoC)中を含めても取り組んでいると回答したのは2割に届かず、米国企業の51.1%と大きく離されている点に触れ、「取り組みは遅れているが、大きくビハインドしているからこそ、この領域にはチャンスがあると捉えている。しっかり追い付けるようサービスを展開していく」と持論を展開した。




会見する佐藤氏

一連の貿易関連業務の中で、通関についても、いまだに通関士ら担当者が電卓を使って手計算するなど、DXがかなり遅れていることを指摘。政府としても国際物流領域のDXの遅れを課題と捉え、変革しようとしている点を紹介し、貿易業務のデジタル化が今後も続くと強調した。

また、Shippio としても2022年に買収した老舗の通関企業、協和海運と連携して通関業務のDXに取り組んでいる点に対して「日本DX大賞2025」の事業変革部門で大賞を獲得したことに触れ、「スタートアップがM&Aをする先が老舗だったということで、業界の人から注目いただいた座組みだ」と自信を見せ、今後も協和海運と組んで通関業務DXを推し進めることに意欲をのぞかせた。

会見に同席したShippioの井上裕史事業本部長(協和海運取締役兼務)は、ECの取引活発化で貨物量と通関許可件数が大幅に増大している一方、通関従事者数は横ばいで1人当たりの業務負荷が重くなっていることや、貿易業務は依然紙の書類やファクスなどアナログが中心な点などを問題点として整理。

新たにShippioとして提供を始める、AIを活用した通関業務効率化支援のクラウドサービス「Shippio Clear」を利用することで、通関士の業務負荷を7~8割減らせるとアピールした。

Shippio事業本部オペレーション部通関チームの山崎岳チームマネージャー(協和海運事業推進室長兼務)は、自らもリンコーコーポレーションで通関などの部門を経験したことを踏まえ、通関業務のDXで通関士の負荷が減り、荷主企業に関税コンサルタントとして節税を提案していくなど、より付加価値の高い業務内容に移行できると意義をPRした。



(藤原秀行)

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