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「状況は小倉昌男氏が懸念していた時代よりかなり深刻に」

「状況は小倉昌男氏が懸念していた時代よりかなり深刻に」

ヤマトHD経営構造改革発表会見詳報④(完)

ヤマトホールディングス(HD)の長尾裕社長ら経営幹部は1月23日、東京都内で記者会見し、傘下のヤマト運輸など8社を再編、本体に統合し純粋持ち株会社から事業会社に移行するなどの大規模な経営構造改革計画を発表した。会見での長尾社長らの質疑応答の発言内容を4回に分けて掲載する。

「マネジメント層がお客さまと離れつつあるのではないか」ヤマト会見詳報①
「いかに働きがいを生み出すかにシフトしなければ」ヤマト会見詳報②
「いったん『1つのヤマト』作り上げて大企業病を打破する」ヤマト会見詳報③
「状況は小倉昌男氏が懸念していた時代よりかなり深刻に」ヤマト会見詳報④

家族向け引っ越しは一定の時期のうちに再開したい

――法人向け引っ越しは再開のめどをどう考えるか。昨年4月に社長就任し、大企業病やサイロ化といった課題を見つけたということだが、足元利益が十分出ていない中で何が引っ掛かりの原因になっているのか。どういう点を見て、気づいたのか。
長尾裕社長
「(質問の)法人向け引っ越しは、法人企業社員の方に対して法人に請求するという意味と理解したが、先ほど申し上げた通り、引っ越しには家族丸ごと都、単身の方のどちらかというと荷量が少ないという、大きく2種類あると理解している。その両方が、法人に請求するものも中にはあるので、今の質問の意図だと、家族向けの再開はいつか、ということだと理解した。リテールのお客さま、特に個人のお客さまに向いてのサービスを当社は当然やっているから、その品ぞろえとして、ご家族丸ごとの引っ越しサービスは1つの品ぞろえとしてあるべきだろうと今は考えている」
「それをどの時期かというと、早く再開しないと、例えばクロネコメンバーズのお客さまが当社に引っ越しを頼みたいというご要望をいただいた時に、いや当社は家族向け引っ越しをやっていませんから、という期間が長いのは問題だなあと思っている。いずれにしても、いろいろな方法があろうかとは思うが、家族向け引っ越しの要望をお受けできるような形には持っていきたい。時期に関して申し上げると、それが2年、3年提供できないのは非常に問題だと思っているので、やはりある一定の時期の中には、そういうご要望をお受けできるようにはしたい」
「どういう社内的な問題感じているかというと、なかなか身内の恥部を申し上げるのは非常にはばかられるので、あまり具体的には申し上げられないかもしれないが、やはり数年来、われわれはこういう問題について社内でも議論してきた。やはり、かつて(宅急便産みの親の)小倉昌男もまだ私が現場にいたころに、よく社内報の巻頭言の中では、ヤマトは大企業病だということをたびたび書いていた。私はその時もそうかなあと思ったし、今はそれよりもかなり深刻な状況ではなかろうかと思っている」
「それは何かというと、お客さまを常に見るか、考えるか。社内の仕事をしていても常に、今自分がやっている仕事はお客さまにつながっているんだろうか、そして今お客さまと向き合っている第一線の社員のためになっているんだろうか、ということを考えるのは大事なことだと思う。あとは、自分のセクションのことだけを考えるというのではなく、やはり時には一歩上の見地から眺めてみる、果たして自分たちがやっていることは全社の最適につながっているんだろうか、お客さまのためになっているんだろうか、現場のプラスになっているんだろうか、ということを考えてみるのは非常に大事なことだと思っている」
「ただ、やはり、中を見ていると、そうではないこともいろいろ散見される。だけどそれを彼らのせいにするつもりはないので、そうなってしまっているのは私をはじめ、経営の問題なんだろうと考えている。よって、経営構造を変えていく、まさに経営陣から思想や考え方、行動を変えていくことをやっていかないと、なかなか現場まで響いていかないのではなかろうかなというのが、われわれ経営陣の大きな問題意識だ」


会見は1時間半に及んだ

――新物流サービスについて、直前に変更になるという点以外にも個人の利用者にとってメリットはあるのか。海外と同様、国内も自前にこだわらないのか。
長尾社長
「宅急便はどうしても全国一律のサービス。よって、提供差し上げるサービスは都市部であっても地方であっても、基本的に同じサービスだったと思う。ただ、やはり、サービスを提供さしあげる地域によっては、いろんなサービスのニーズがあると考えている。例えば都内で申し上げると、当社のお届けが可能な時間帯が果たして現行の、宅急便としてご提供差し上げているような時間帯だけでいいのかというと、お客さまの声としては、もう少し違う時間にも届けてほしいというような声もある」
「そして、より使いやすい、例えば先ほど変更の話を申し上げたが、それ以外の、例えば返品とか、いろんなニーズがある。こういった部分に関しても、より使いやすいものができないのかなあというお声が、いろいろお客さまのお声をお聞きしている中では出てきている。もちろん、宅急便として解決しなければいけない部分もあるが、先ほどから申し上げているような原因で、なかなかすぐに宅急便として、改善できない部分もある。そういった部分をいち早く盛り込んでいけるようなことを、早く手を動き始めないといけない、と考えている」
「海外は、何度も申し上げているように、自力でやることだけではスピードが上がらない、そしてやれることにもいろいろと限界があるのかなという気がしている。ただ、われわれが持っている経営資源をうまくオープン化していけば、そして地域の同業のプレーヤーの方々といろいろ手を組みながらビジネスを作ることによって、従来から見るといろいろと幅が広がるサービスがご提供できる可能性はあると考えている。よって、ご質問に対しては、日本の中でも同じように考えているということ」

経営課題は13と特定

――2024年3月期のターゲットを営業利益1200億円以上と置いているが、現状から倍増で、相当ハードルが高いと思うがどのへんに勝算があると考えているのか。今回の改革について、結局何がどう変わるのか、例えばSDの働き方や営業所の役割がどのように変わるのか、分かりやすく伝えてほしい。
長尾社長
「もちろん、実は今日細かく申し上げると、非常に細かくなるので、当然ながらある程度差し控えているが、われわれとしてこの数年間、そして特に昨年から子の経営構造改革を社内で大きく議論や分析をしてきた。その中で、われわれとして今直面している経営課題を約13特定している。それぞれの課題について、今日基本的に申し上げているような、たとえばデジタル化であったり、テクノロジーの活用であったり、こういうものを取り入れながら、そして当社の構造的な課題も手を打って改善をしていけば、例えば13と申し上げたが、13のうちの1つ目ではこれくらいの効果が見込めるね、2つ目はこれくらいの効果が見込めるね、というようなことをかなり細かく積み上げている。このあたりを全て実行して、今想定をしている成功した時の価値を積み上げていくと、今日表明させていただいた数字に到達できる。もちろん、簡単ではないのは承知している。ただ、あてずっぽで置いている話ではなく、かなり中身を精緻に、課題を特定しながらそれに対する解決の手段、そしてそれによって得られる効果を導き出しているということ」
「やはり大きいのは、先ほども申し上げたが、現場の中では彼らが実際に表に出ていって、お客さまにサービスをするための、その上で彼らが仕事をしやすくするための仕組みや工夫ということが、どんどん追加されていかないといけないと思っている。逆に彼らの活躍していくための足を引っ張っている余計な業務は取り除いてあげないといけないと思っている。例えばこの数年で、お届けをするための配達のルート組みは従来の紙の伝票や地図を見ながら組むという話ではなく、彼らがもう今持っているタブレットの上にデジタルデータや地図が表示されて、それをなぞってお届けできる、当然ながら彼らのロジックで、この順番はおかしいよね、というようなものは出発前に簡単に組み替えができるというような仕組みを導入している。この仕組みだけでも、少し彼らの生産性は向上してきている。ただ、それ以外の細かなことを申し上げると、いろいろ彼らが出発するまでに当然ながらお客さまの要望、今日の荷物のお届けの要望、変更してほしいとか、いろんな要望が来ている。そういったものをやはり、彼らがある程度知らないといけないので、そういったことに対しても、いろいろまだ、デジタル化できていない部分があり、彼らの手を止めている部分がいろいろあると認識している」
「今日ソーティングの話をしていたが、一番大きい点は、われわれの営業店で、ターミナルで一度分けているが2回目の仕分けをしなければいけないのは非常に大きな負担。これはコスト的にも負担だが、やはり彼らの本業の仕事に対して、出発時間がその仕分けによって左右される面は大きくある。こういったものを今のプランに応じて、2段階の仕分けを極力、2段階目をなくそうということを考えている。これによって彼らの、お客さまのところに行くという時間帯は従来よりも無駄な仕事をしないで出発できる状態が作り出せるし、それ以外にもいろんな、彼らが本来のお客さまに対してサービス提供できる以外の細かな業務もパラパラパラパラいろいろいまだ残っている。そういったものを全て取り除いてあげようということも含めての改革。よって、彼らに対しては、そういうイメージをしっかり、見せてあげられるような改革にしていきたいと思うし、逆にいうとそういうものを作り上げることを、セールスドライバー(SD)の皆さん以外の社員と一緒になって作っていきたい」

(藤原秀行)

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