日本郵船、バイオ燃料を長期使用・保存する実証実験で技術的安全性確認と発表

日本郵船、バイオ燃料を長期使用・保存する実証実験で技術的安全性確認と発表

シンガポールの非営利団体と共同で実施、技術情報をWebで公開

日本郵船は9月18日、シンガポールを拠点に海事産業の脱炭素化を推進する非営利団体「Global Centre for Maritime Decarbonisation」(グローバル・センター・フォー・マリタイム・デカボナイゼーション、GCMD)と共同で実施した、バイオ燃料(B24)の長期使用・保存を実証する「プロジェクトLOTUS」がこのほど完了したと発表した。

自動車専用船でバイオ燃料を6カ月間継続して使用し、エンジン性能や燃料供給システムへの影響を精査した結果、技術的な問題は認められず、船上保管後の燃料もISO(国際標準化機構)規格の品質を保っていたという。



同社はバイオ燃料の安全かつ持続的な利用可能性が確認できたと強調。検証結果はバイオ燃料を未導入の事業者にも利用可能な技術情報としてGCMDのWebサイトで公開する。

実証実験は、これまで世界的にもあまり行われてこなかった、バイオ燃料の長期使用が船内機器に与える影響についての包括的な評価を実施するのが狙い。

2024年5月から実験を続けた結果、バイオ燃料(B24)は長期の使用・保存でもエンジン性能や燃料供給システムに悪影響を及ぼすことがなく、安定した運航が可能なことが確認できたと説明している。

機器の摩耗や腐食の兆候も見られず、潤滑油やフィルター類も通常通りの性能を維持していたほか、保管後の燃料品質はISO 8217規格内に収まっており、微生物汚染の発生もなかった。

各成果は、バイオ燃料が既存の船舶インフラを活用できる「ドロップイン燃料」として、安全かつ即時に導入可能であることを示しており、今後の使用拡大に向けた技術的な裏付けになるとみている。

(藤原秀行)

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