LNG輸送船などの運航管理に期待、洋上風力発電の開発支援も
ノルウェーの海運大手ウィルヘルムセングループで船舶・船員管理などを手掛けるウィルヘルムセン・シップマネジメントのハーコン・レンツ社長兼CEO(最高経営責任者)は9月26日、東京都内で記者会見し、事業戦略などを説明した。
レンツ氏は同社が450隻以上の船舶と1万1000人以上の船員を擁し、世界各地でLNG(液化天然ガス)輸送船など幅広い船舶の管理を手掛け、運航効率化による温室効果ガス排出削減などに貢献していると成果を強調。その上で「全ての事業にとって日本は非常に重要だ」と語り、日本での事業拡大に注力する姿勢をアピールした。
具体的には、脱炭素支援の一環として、LNG輸送船の運航管理に強い関心を示したほか、 洋上風力発電施設の開発支援についても意欲を見せた。
会見するレンツCEO
レンツ氏は日本との関わり合いについて、1990年に日本郵船の自動車運搬船の管理を手掛けて以来、20年以上に達すると説明。顧客の28%を日本からの船舶が占めるなど結び付きを強調した。
併せて、「LNGなどのガスの領域はまだまだ能力があると思うので伸ばしていきたい。船員も多く抱えている。ドライのセグメントも、自動車運搬船もさらに伸ばしていける余地があると考えている」と指摘。
「洋上風力発電の開発に関しても何か寄与できるところがあると考えている」と語り、資材運搬などの面で
また、世界的な船員不足への対応を強化する意向を公表。具体策として、アフリカのケニアで展開している士官候補生育成プログラムなどを活用し、アフリカ人船員を今後2年間で200~300人確保していきたいとの考えを語った。併せて、スマートフォンでオンライン学習可能なアプリの普及にも努めることを訴えた。
欧州で環境規制が強化され、硫黄分の濃度が低い適合油の仕様を強いられるために運航コストの上昇が見込まれる点に言及。エタノールなどの新たな燃料の活用が広がることを展望した。
(藤原秀行)