東急建設とフジタが共同開発、人並みの効率確保
東急建設と大和ハウス工業グループのフジタは9月30日、施工現場で使われている自動搬送ロボットに水たまり除去(水替え作業)機能を付与できる「水替えアタッチメント」を共同で開発したと発表した。
建設業は人手不足の深刻化に対応するため、現場の省人化・省力化が進んでおり、その1つに自動搬送ロボットによる建設資材搬送の自動化が含まれている。一方、自動搬送ロボットは物を運ぶ作業に特化しているため、適用範囲が狭く、多くのロボットは導入コストに対して十分なメリットが得られないことが課題になっている。
そのため、両社は自動搬送ロボットの導入による投資対効果の向上と建設現場の生産性向上を目指し、自動搬送ロボットに簡単に搭載可能な「多機能化アタッチメント」の共同開発に取り組んでいる。
建設現場の生産性は天候の影響を受けやすく、特に雨水による床の浸水が多くの作業の進行を妨げている。そこで、自動搬送ロボットを活用した水替え作業の自動化を最初の取り組みとして設定し、実現可能とする水替えアタッチメントの実用化にこぎ着けた。
吸込口からバキュームで床面の水を吸い上げるため、一般の排水ポンプでは除去が難しい微量の水たまりにも対応可能。タンクの貯留量は150リットルと大型で、排水場所から離れた場所でも稼働できるようになっている。
簡易な接点信号で送受信するため、さまざまな自動搬送ロボットとも連携できるという。
両社が物流倉庫の新築現場で行った実証実験では、床面積750㎡の水替え作業を自動化し、作業効率は100㎡/hに到達した。従来の人力による1人当たりの作業効率96㎡/hと比較して、ほぼ同等の作業効率を確保できたという。
水替えアタッチメントをより多くの自動搬送ロボットで汎用的に活用できるようにするため、両社は実証実験を続けて作業効率や安全性を高める改良を施す予定。掃除などの機能を付与する新たなアタッチメントの開発も進め、自動搬送ロボットの導入効果向上と生産性向上をさらに進めていくことを目指す。
【水替えアタッチメントの概要】
対応建設現場:店舗、オフィス、工場、倉庫、教育施設、福祉施設などの現場屋内
サイズ:
幅:600mm、奥行:1,400mm、高さ:1,278mm(平台車を除く)
質量:300kg(タンク空時)
タンク容量:150リットル
連続稼働時間:2時間(バッテリーは交換が可能)
バッテリー:リチウムイオン電池(3時間で充電が可能)
(藤原秀行)※いずれも両社提供