セイノーHDやエアロネクストなど、長野・王滝村で災害時のドローン物資輸送想定した実証実験

セイノーHDやエアロネクストなど、長野・王滝村で災害時のドローン物資輸送想定した実証実験

能登半島地震で使った機体投入、医療物資を無事空輸

セイノーホールディングス(HD)と、エアロネクスト、同社子会社でドローン物流を手掛けるNEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは2月13日、長野県王滝村で災害時のドローン物資輸送を想定した実証実験を行ったと発表した。

NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携し、セイノーHDとエアロネクストが全国の自治体で導入を進めている、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」の社会実装を検討するために実施した。


(左から)KDDIスマートドローン・星野寛明ソリューションビジネス推進2部プロジェクトマネージャー、セイノーHD・和田悟事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課長、王滝村・越原道廣村長、木曽地域振興局・渡邉卓志局長、NEXT DELIVERY・青木孝人取締役


災害を想定した医療物資を搭載した箱を切り離して飛び去る物流専用ドローンAirTruck(おんたけ休暇村)


ドローン配送で置き配された医療物資を確認するおんたけ休暇村総務課の宮村課長(おんたけ休暇村)

エアロネクストとNEXT DELIVERYは1月7日、能登半島地震で被災した輪島市からの要請を受けた日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の活動に参加し、同市内で孤立地域にドローンで医療物資などを輸送した。災害時にドローンを活用して物資を被災地に届ける試みは国内で初めて。

今回、王滝村の実証実験でも能登半島地震の被災地で使用した、エアロネクストがACSLと共同開発した物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」を使用し、災害時に関する課題の解決策を探った。

実証実験では、おんたけ休暇村と王滝村中心地をつなぐ道路が災害で寸断されると陸路で行き来することが困難になることを想定し、崩越地域のテニスコートからおんたけ休暇村間を飛行。機体はAirTruckを投入し、機体の制御にはKDDIスマートドローンが開発した、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能にするサービス「スマートドローンツールズ」の運航管理システムを使った。

2月7日の報道関係者への公開では、崩越テニスコートからおんたけ休暇村までの片道約10㎞・約21分を、医療物資を搭載し、無事ドローンで空輸した。

今回の実証実験は一般社団法人環境普及機構により、「令和4年度(2022年度)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)」として採択された。


物流専用ドローンAirTruckで届いた医療物資を受け取ったおんたけ休暇村総務課の宮村課長(いずれも各社提供)

(藤原秀行)

災害/事故/不祥事カテゴリの最新記事