イトーキと日本オラクルが共同で予知保全システム開発、26年1月提供開始
イトーキと日本オラクルは11月5日、AIを活用し、イトーキが展開しているシャトル式の自動物流倉庫「システマストリーマー SAS-R」の故障の兆候を事前に把握、深刻なトラブルを回避する予知保全システムを開発したと発表した。
日本オラクルのAIに関する知見やノウハウを駆使し、自動物流倉庫に取り付けたセンサーなどで稼働状況のデータを収集。通常と違う動きが起きていることを速やかに検出し、早期の部品交換などを可能にする。
両社は予知保全システムを使うことで、自動物流倉庫が稼働を停止する時間を最大限短縮、「止めない運用」を実現することで物流現場の生産性向上と安定稼働を後押しすることを目指す。イトーキは今後、自動物流機器の保守サービス事業拡大に注力していきたい考え。
SAS-Rのユーザー向けに2026年1月、イトーキの遠隔で製造現場などの状況把握・復旧が可能なリモートメンテナンス技術と統合したサービス「ITOKIアドバンスドメンテナンス」として提供を始める予定。
新サービスは、SAS-Rの内部で水平方向に荷物を搬送するシャトル台車（ドーリー）から取得したトルク値（締め付ける力の強さ）や、垂直方向に昇降するリフター（リザーバー）に取り付けたセンサーからの情報などを収集。AIで動作の距離や回数、稼働時間などを学習し、正常な状態を理解した上で、異なる動きが出てきた場合に検知、ユーザーに周知する。
故障の兆候を察知すると、その箇所への製品入庫を自動的にストップし、混乱が広がらないようにする。出庫は続けられるため、作業のダウンタイムが生じないよう抑えられると見込む。
（いずれもイトーキ提供）
東京都内のイトーキ本社で記者会見した同社の湊宏司社長は「AIデータのハンドリングのエキスパートがオラクルさん。また、物流倉庫におけるSAS-Rはミッションクリティカル（任務を遂行する上で必要不可欠）なソリューションで、SASが止まるとお客様の出荷が止まるため、お客様の業務を円滑に回す上でなくてはならないシステム。ミッションクリティカルと言えば、信頼性という意味でもオラクルさんだと考えて、一緒にやらせていただくことにした」と説明。
日本オラクルの竹爪慎治専務執行役員は「（自動物流倉庫の予知保全システムは）当社のAI戦略のど真ん中であり、ぴたりと合致する。非常に注力していく」と語った。
（藤原秀行）
