飲料大手5社、「2024年問題」など考慮し納品時の賞味期限緩和を検討へ

飲料大手5社、「2024年問題」など考慮し納品時の賞味期限緩和を検討へ

物流負荷軽減も

アサヒ飲料、伊藤園、キリンビバレッジ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナルの清涼飲料大手5社は11月27日、「物流2024年問題」や食品ロス問題などに対応するため、2026ネ年度は納品時の賞味期限緩和などに連携して取り組むと発表した。

5社は昨年11月、「社会課題対応研究会」を立ち上げ、物流2024年問題や脱炭素などの社会課題を解決するための取り組みを議論している。

今後、物流2024年問題でトラックドライバー不足がさらに深刻化することが懸念されているのを踏まえ、清涼飲料のように賞味期間が長い商品の納品ルールを緩和することで、製配販全体で物流2024年問題、食品ロス問題の改善に寄与したい考え。

研究会の調査では、賞味期限や消費期限を気にする人は精肉・牛乳など日配品で約6~8割に上ったのに対し、加工食品は約1~2割にとどまった。特にペットボトル飲料は賞味期限表示がないアイスクリームと同等の回答結果になっているほか、店頭で1カ月の賞味期限逆転(既に納品された商品よりも賞味期限や製造年月日が長いことを指す)が確認されても9割近くの人が購入すると答えているため、消費者の購買行動への影響は限定的と判断。

取り組みに賛同している農林水産省と情報交換するほか、流通関係者と日付逆転品の受け入れに向けた運用テストと店頭調査を実施するなど、具体的に日付逆転品のルール緩和に向けた取り組みを検討する。

また、輸送・配送・倉庫の各領域の物流負荷軽減策も検討する。

このほか、温室効果ガス排出削減やプラスチック使用量抑制のため、ペットボトル・キャップを軽量化する。欧州を中心に広く使われている、従来品より飲み口部の長さを短くしたペットボトルとキャップについて、日本ならではの品質とユーザビリティを確保した仕様に進化した形での市場導入を目指し、研究開発と導入の検討を開始する。

従来のペットボトルを1本当たり約2グラム削減した新軽量化規格のペットボトルに置き換えた場合、約5万tのペットボトル樹脂使用量および約10万tの温室効果ガス排出削減につながるとみている。

他にも、容器包装資材の効率化やサプライヤー企業と連携した再生可能エネルギーの利用促進にも取り組む。

(藤原秀行)

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