【独自取材】プロロジスが財団軸に社会貢献深化、物流人材育成アカデミーも本格展開へ

【独自取材】プロロジスが財団軸に社会貢献深化、物流人材育成アカデミーも本格展開へ

日本事業20周年で設立、谷住代表理事「活躍後押しできる存在に」と意欲

プロロジスは日本で事業活動をスタートしてから2019年3月で20周年を迎えたのを契機に、一般財団法人「プロロジス財団」を今年5月に設立した。同社グループは米国を中心にグローバルで進出しているエリアごとに独自の社会貢献活動を展開しており、日本でも積極的に取り組みを進めてきた。財団を核に活動をさらに多様化・深化することを想定している。

その核の1つになりそうなのが、物流業界の未来を担う人材を育成する「プロロジスアカデミー」だ。グループの中でも日本オリジナルの活動で、今年は顧客企業を対象として試行的に開催、来春にも本格展開を開始することを目指している。

財団の谷住亜紀代表理事(プロロジスマネージングディレクター・管理本部長)は「“卒業”された方々がこれからどんどん物流の世界へ羽ばたき、活躍されるのを後押しできる存在になりたい」と語り、人手不足など物流業界の抱える課題解決に貢献したいと意欲を見せている。


取材に応じる谷住代表理事

全世界で一斉にボランティア活動

プロロジスはかねて社会貢献活動に熱心だ。米国本社は01年にプロロジス財団を立ち上げ、グローバル規模で非営利団体への出資などを展開している。日本でも例えば、06年から早稲田大大学院で寄付講座を毎年開催、今年で14年目に入った。「ロジスティクスの変遷と現状の課題」「サプライチェーンマネジメントの課題と解決への取り組み」「物流センターの機能と配送の効率化」などテーマは多岐にわたり、物流の持つ社会的意義を広く知ってもらいたいとの同社の強い意志がうかがえる。

他にも、スタッフに09年からボランティア休暇を年間1日、地域貢献活動休暇を2日それぞれ付与しており、前者は自分の好きなボランティア活動に充てられる。後者はプロロジス主導で行う活動が対象となる。社内で利用の度合いは非常に高く、すっかり定着しているという。

さらに、13年からは毎年5月の第3金曜日に全世界のプロロジスグループ従業員が一斉にボランティア活動へ取り組む「IMPACT Day(インパクトデー)」を実施。日本も足並みをそろえており、19年は東京オフィスとJリートの資産運用を担うプロロジス・リート・マネジメントのスタッフ100人超が参加。社会貢献活動を展開している公益財団法人のジョイセフ(東京)が集めた使用済みのランドセル約4000個をアフガニスタンの子どもたちに贈るべく、プロロジスが三井不動産と共同で開発した物流施設「MFLPプロロジスパーク川越」(埼玉県川越市)で検品や梱包を行った。活動にはプロロジスの物流施設のリピーターでもあるセンコーが輸送面で協力した。

一方、プロロジス大阪オフィスのスタッフ10人超は関西国際空港の近隣にある海岸で、NPO法人の環境技術振興会と協力して生息する生き物の調査を実施、環境保全の重要性をアピールするのをサポートした。

プロロジス財団もそうした企業文化の一環として誕生した。谷住氏は「手前みそになるが、当社が日本の先進的物流施設市場を率先して作り上げてきたと自負している。それだけに、社内には20年を機に日本の物流業界へさらに恩返しさせていただきたいとの強い思いがあった」と振り返る。


使用済みランドセルの検品・梱包に加わったプロロジスのスタッフ(同社提供)

事業戦略立案やオートメーションプロセスなど議題に

財団が活動の柱の一つに位置付けている「プロロジスアカデミー」は、いわば同社による物流業界の“私塾”のような存在だ。まずは顧客企業から有志6人が参加し、6月下旬にスタート。現状では毎月1回程度開催し、座学にとどまらず参加者同士のディスカッションや実際の物流現場でのワークショップも計画されている。メンバーは20代後半から30代半ばと、次の物流業界の主役となることが期待される世代の人たちという。

今年は全6回を予定しており、谷住氏は「基礎的な研修に終始するのではなく、例えばどのように物流の事業戦略を立案すべきか、オートメーションをどのように進めていくのかといった、より実践的なテーマを重視している」と説明する。プロロジスで物流業務に関するコンサルティングを顧客企業に提供するチームのメンバーが講師を務めているだけあって、かなり練り込まれたカリキュラムとなっているようだ。

物流現場でも人手不足を受け、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった先端テクノロジーの導入と活用が喫緊の課題となっている。アカデミー設立には、物流業界でそうした変革にキャッチアップし、きちんとした戦略を立案して現場への展開をサポートしていける人材を生み出したいとのプロロジスの強い思いがある。

今年の試行した内容を基に、期間や回数などをさらに詰め、来春をめどに正式スタートしたい考えだ。谷住氏は「一方通行の講義に終始するのではなく、ディスカッションなどメンバー間で積極的に議論や意見交換をしていただきたいので、おそらく今年と同じく少数精鋭のスタイルを重視するのではないか。さまざまな業界から参加していただきたい」と強調。将来は公募にしてより幅広く参加者を集めることも視野に入れているという。

人材育成のほか、財団では児童養護施設から社会に出ようとする子どもたちへのサポート、物流施設を展開している地域の「子ども食堂」への支援などにも意欲を示している。さらに谷住氏は、米国のプロロジスが手掛けている「コミュニティ・ワークフォース・イニシアティブ(CWI)」と呼ぶ独自の活動に強い関心を示している。

CWIは米国で地域の職業斡旋プログラムと連携し、物流業界への就職を希望する人たちに就職斡旋サービスを提供するとともに、メンターシップやスキルアップトレー二ング、インターンシッププログラムを行っている。高校生が物流施設に就職するのを後押しするなど、地域経済活性化と若者たちの就業支援という両面で成果を挙げているという。谷住氏は「日本ではハードルが高いがぜひ将来は手掛けてみたい」と語り、人手不足解消と雇用創出でもさらに日本で存在感を発揮していくことに意欲を見せている。

(藤原秀行)

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