横浜港で国内初、メタノール燃料の船舶間直接供給を錨地で実施

横浜港で国内初、メタノール燃料の船舶間直接供給を錨地で実施

三菱ガス化学や商船三井など5者、実用化目指す

三菱ガス化学、横浜市、三菱ガス化学系海運会社の国華産業(東京都港区新橋)、出光興産、商船三井の5者は2月9日、京浜港横浜区(横浜港)の錨地(船舶が港湾の沖合などで錨を下ろし、安全に停泊・待機するための指定海域)で、三菱ガス化学が用船し商船三井が運航するメタノール二元燃料外航船「第七甲山丸」と国華産業の運航するメタノール輸送内航ケミカルタンカー船「英華丸」の間で、船舶で燃料として使用するメタノールを直接供給する「メタノールバンカリング」を実施したと発表した。

5者によると、海上で燃料供給船を船に横付けし、船から船へ燃料を供給するShip to Ship方式によるメタノールバンカリングを、就航している船舶に対し、錨地で行ったのは国内で初めてという。



今回のメタノールバンカリングでは三菱ガス化学の新潟工場(新潟市)で生産した国産のバイオメタノールも供給しており、第七甲山丸の運航時に燃料として使う予定。


接舷する第七甲山丸(奥)と英華丸(手前)


Ship to Ship方式バンカリングの様子


横浜港航空写真(いずれも5者提供)

実施船要目

区分 バンカリング対象船 バンカリング船
船名 第七甲山丸 英華丸
総トン数 29,969 498
載貨重量トン 47,960 1,259
運航者 商船三井 国華産業

メタノールは燃料に使う際、燃焼時のCO2や硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)の発生量が少ないため、海運領域の環境負荷低減策としても利用への期待が高まっている。既存のインフラ環境で取り扱いがしやすいことがメリットで、メタノール燃料船の発注が進んでいる。



メタノールバンカリングは国土交通省港湾局が2024~25年に開催したメタノールバンカリング拠点の在り方に関する官民検討会で、実施に関する手続きの基準・安全対策などを取りまとめた。

今回の錨地で実施したバンカリングは検討会の議論を基に、5者を含む実施事業者と国交省(海上保安庁含む)など複数の関係者が、24年9月に横浜港で実施したメタノールバンカリングシミュレーションで得た知見や国内におけるメタノールを含む化学品の輸送に関する知見などを持ち寄り、実施に向け手続きや安全対策を議論し、実現に至った。

錨地のバンカリングは既存の舶用燃料供給でも既に行われており、運用面の利便性が高い手段という。5者は引き続き、関係者間で取り組みの事後検証などを通じ、得た知見を体系化・可視化して他船種、あるいは日本国内他地域でのメタノールバンカリングの実施時にも活用することを目指す。

(藤原秀行)

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