国交省が環境整備本格化へ、専用走行レーン設置も
国土交通省は、自動運転によるトラック隊列走行の普及に向け、高速道路の環境整備を本格化させる。商業化までの段階で、SAやPAを拡幅してトラックが隊列を組んだり分離したりするための専用スペースを確保。他の車が隊列走行を避けて本線へ安全に合流できるようにするための技術導入も検討する。
隊列走行が普及した段階では、専用レーンの設置や直結して出入りできる物流拠点の整備、運行管理システムの導入などを促進する方向だ。
同省の「新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会」(座長・根本敏則敬愛大教授)がこのほど策定した中間取りまとめの内容を踏まえ、関係省庁や高速道路会社とも連携し、2020年度予算の概算要求に関連施策を盛り込むなど対応を進める構えだ。
中間取りまとめは、後続車が無人で隊列を組む自動走行システムの商業化までと、普及状況を踏まえた対応の2段階で施策を提示。前者は既存のSAやPAで隊列走行用トラックの駐車スペース確保や事前の駐車場予約システム導入などを図ることを打ち出した。後者は3車線区間の右側レーンを隊列走行専用レーンとすることや、物流拠点と専用走行レーンを直結するランプを設けることなどを盛り込んだ。
11カ所のSA・PAを拡幅
具体的な場所としては、商業化までの段階で、神奈川の秦野SA、静岡の足柄SA、愛知の岡崎SAなど11カ所のSA・PAに隊列の形成・分離用スペースを整備するほか、実証実験の段階では静岡の駿河湾沼津SAと浜松SAに隊列形成スペースを設置。さらに普及段階では神奈川の海老名JCT、愛知の豊田JCT、京都の城陽JCTの付近に専用の走行レーンに直結する物流拠点を整備することを示している。
本線へ安全に合流できるようにするための実証実験としては、新東名道の静岡県区間で、隊列走行のトラックが近づいている場合は合流部に設けた信号を赤にして合流をストップする「ランプメータリング」を行ったり、メッセージを表示するLED板で周囲の車両に注意喚起したりすることを想定している。
(藤原秀行)
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