一五不動産情報サービス7月調査、eコマース需要拡大の見方多く
工業用不動産に特化した不動産調査を手掛ける一五不動産情報サービス(東京)は8月26日、物流施設の不動産市況に関するアンケート調査結果を公表した。
不動産分野の関係者らに半年後の賃料水準の見通しを尋ねたところ、「横ばい」が60・9%で最も多かったが、その割合は今年1月実施の前回調査時から9・4ポイントダウン。一方、「上昇」は13・8ポイントアップの38・0%に達し、2018年1月から4回連続で割合が拡大した。「下落」は4・4ポイントダウンの1・1%だった。
同社は「東京圏の不動産マーケットでは19年の供給量は過去最大となることは確実で、20年、21年ともに19年に匹敵する供給量となる見込みであるが、賃料水準の楽観的な見通しがさらに勢いを増している」と指摘した。
調査は物流施設デベロッパーや金融機関、物流企業、シンクタンクなどを対象に、半年ごとに実施しており、今回は92者から有効回答が寄せられた。
「上昇」と答えた理由を尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「eコマースが需要をさらに牽引するため」が20回答で、「土地価格や建築費などの開発コストが上昇し、その分の賃料転嫁が進むため」が18回答、「雇用面で優位性のある高機能型物流施設に対するニーズが高まるため」が15回答などと続いた。
物流施設の不動産価格に関して半年後の見通しを聞いた結果、「上昇」が39・1%で前回から12・6ポイント拡大。17年1月からは2割台で推移してきたが、ここに来て上昇の見方が広がっていることを示唆した。「横ばい」は10・5ポイントダウンの59・8%、「下落」は1・1ポイントダウンの1・1%となった。
同社は「不動産価格は高止まりの膠着状態から脱し、再び上昇するという気運が見られる」との見解を示した。
半年後の賃料水準の予想に関する割合の推移(一五不動産情報サービス調査より引用)※クリックで拡大
(藤原秀行)
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