関西圏の坪当たり募集賃料が10年ぶり3600円台、市況回復続く

関西圏の坪当たり募集賃料が10年ぶり3600円台、市況回復続く

一五不動産7月調査、東京圏も堅調

一五不動産情報サービスは8月30日、2019年7月時点の賃貸物流施設市場の動向に関するリポートを公表した。

関西圏に関しては、空室率が前回調査の今年4月から0・9ポイント低下し4・3%だった。前期から下がったのは7四半期連続。

坪当たりの募集賃料は2・5%(90円)上昇し3620円となった。09年7月以来、10年ぶりに3600円を上回った。市況回復が持続していることをうかがわせた。

今期(19年5~7月)はプロロジスの「プロロジスパーク神戸4」(神戸市)、東急不動産の「LOGI’Q枚方」(大阪府枚方市)など4棟が新たに完成。このうち3棟が満室で稼働しており、旺盛な需要を示している。

今後の空室率については「19年下半期の完成物件は入居テナントが確定したBTS型が大半のため、空室率はさらに低下する見込み」と予測。ただ、賃貸可能面積が35万平方メートルを超えるESRの「ESR尼崎ディストリビューションセンター」(兵庫県尼崎市)が20年6月に完成予定となっているため、20年は空室率が一時的に上昇するとみている。


関西圏の空室率の推移(一五不動産情報サービス調査資料より引用)※クリックで拡大

都の募集賃料は初の7000円台に

東京圏の空室率は前回調査から0・6ポイント下がって3・4%だった。19年1月調査以来6カ月ぶりの3%台。今期の新規供給は59・3万平方メートルで前期からほぼ横ばいだが、新規需要は大きく上回る68・8万平方メートルと引き合いが盛んだったことが追い風となった。

坪当たりの募集賃料は1・0%(40円)下がって4120円。ただ、東京都の施設に絞ると、08年7月の調査開始以来、初めて7000円台に到達しており、一五不動産情報サービスは「都心近郊の賃料水準は堅調に推移している」と指摘した。

今期はラサール不動産投資顧問や三菱地所、NIPPOが共同開発した「ロジポート川崎ベイ」(川崎市)、シーアールイー(CRE)の「ロジスクエア川越Ⅱ」(埼玉県川越市)、三井不動産の「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP羽田)」(東京・大田区)、三井物産都市開発の「LOGIBASE藤沢」(神奈川県藤沢市)、野村不動産の「Landport川口」(埼玉県川口市)と「Landport東習志野」(千葉県習志野市)、ESRの「ESR野田ディストリビューションセンター」(千葉県野田市)ほか計12棟が新たに完成、うち6棟が満室稼働だった。

調査は延べ床面積、敷地面積のいずれかが1万平方メートル以上の賃貸物流施設が対象。東京圏は東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県、関西圏は大阪、兵庫、京都の2府1県。調査対象は東京圏が378棟、関西圏が106棟だった。


東京圏の空室率の推移(一五不動産情報サービス調査資料より引用)※クリックで拡大

(藤原秀行)

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