自動で対象商品の形状や大きさ把握、柔らかい食品なども対応可能
物流業務効率化の新技術開発に取り組むスタートアップ企業のGROUND(東京)はこのほど、千葉県市川市のR&D(研究開発)センター「playGROUND(プレイグラウンド)」で、同社が独占販売権を有している米ソフトロボティクス製の最先端ピッキングロボットシステム「SuperPick(スーパーピック)」のデモンストレーションを本格的に開始した。
スーパーピックは柔らかい物でも壊さずにつかめる「グリッパー」と呼ばれる“ハンド”などで構成。独自に開発した高性能ビジョンカメラでピッキングする対象物の形状や大きさを瞬時に把握し、グリッパーがつかむ際の適切な力を算出。コンテナの中から商品を取り上げたり、別のコンテナに収めたりする。最大で2・27キログラムの重量物までピックアップできる。
「スーパーピック」の全景
毛糸のような柔らかい物もスムーズにピックアップできる“ハンド”
小型カメラを搭載し、商品のつかみそこねを検知したらすぐに再トライ。吸盤も付いている
高性能ビジョンカメラが商品の形状などを正確に把握する
システム自身がピッキングする物の形を自動で把握、学習するため、取り扱う商品の特性をあらかじめ記憶させるといった導入準備作業を大幅に軽減できるのがメリットだ。ハンドを取り付けるロボットアームは顧客企業の現場の状況に応じ、多様なメーカーの製品の中から選べる仕様となっているのも利点だ。優しく物をつかめるため、米国では食品メーカーや自動車部品工場などで活用されているという。
GROUNDの北野峰陽セールス3部長はロジビズ・オンラインの取材に対し、「これまでロボットオートメーション化が難しいとされていたピースピッキングに対応できるのは大きな意義がある。システムが自律的に学習するため、ピッキング作業全体の生産性を高められる」と強調。既に問い合わせも寄せられており、2020年末までに10台のシステム販売を目指す。将来は同社が普及を目指す倉庫内の協働型ピッキング支援ロボット(AMR)と連携させることも視野に入れている。
同システムのエンジニアリングを担当しているセールス3部のバヂアン・アリウヌ氏は「eコマースの利用拡大などで今後もピッキングロボットの需要が見込まれる。このシステムは必ずお役立ていただけると思う」と意気込みを見せた。
取材に応じる北野氏とアリウヌ氏
※以下、イメージ動画
(藤原秀行)