【独自取材】ドライバーら雇用・人材面の改革、運輸業は「ホワイト物流」独自策の5割超に

【独自取材】ドライバーら雇用・人材面の改革、運輸業は「ホワイト物流」独自策の5割超に

自主行動宣言集計、女性やシニア層の活躍促進目立つ

政府が物流事業者や荷主企業と連携してトラックドライバーの就労環境改善などを図る「ホワイト物流」推進運動について、ロジビズ・オンラインは9月6日時点で賛同を表明している全国の荷主企業と物流事業者277社・団体が同運動事務局に提出した自主行動宣言を独自に集計した。

同宣言で必須項目となっている全体の取り組み方針と法令順守への配慮、契約内容の明確化・順守の3点以外に、「独自の取り組み」を挙げた企業は「運輸・郵便業」全体の約45%に上り、そのうちの5割超がトラックドライバーらの待遇改善など雇用・人材面の改革を掲げていることが明らかになった。

具体策としては、女性やシニア層の活躍促進を挙げる向きが多く、健康管理の重視や未経験者の採用積極化・登用推進なども見られた。

ただ、今回の宣言はあくまで各企業の自主的行動だけに、打ち出した施策が具体的にどこまで順守され、効果を挙げるかは未知数。運動に賛同した各社には、“絵に描いたもち”になっていないかどうかを分かりやすく説明することが求められそうだ。

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「ダイバーシティ推進」「若手の積極的採用」など並ぶ

集計は必須項目以外の選択結果を明示している企業を対象に実施した。集計対象となった「運輸・郵便業」は86社で、倉庫会社なども含まれている。

「独自の取り組み」を盛り込んだのは45・3%の39社。この中で女性ドライバーの活躍促進、拘束・休息時間の改善、健康管理重視といった雇用・人材面の改革に言及したのは59・0%の23社となった。

具体的には、「ダイバーシティの推進」(日本通運)、「社員個々の能力開発を支援し、労働生産性向上」(ハンナ)、「残業時間の上限規制遵守、乗務員の作業軽減、法令順守を目的とした附帯作業料金化」(F-LINE)、「女性ドライバーの積極登用」(サカイ引越センター)、「女性ドライバー専用の施設充実、若手ドライバーの積極的採用」(山九)、「情報ネットワークシステムの構築等によるドライバーの健康管理レベルの向上」(塚腰運送)、「未経験者・女性の積極活用」(安立運輸)――などとなっている。

他には、「同業他社との共同運行の推進(ダブル連結トラックなど)」(西濃運輸)、「共同配送の取り組み推進」(ゴーテック)などの物流共同化や、「スワップボディコンテナの拡大」(ホームロジスティクス)、「スイッチセンター設置」(鴻池運輸)――といった効率化を提示している企業も目立っている。

さらに深刻な人手不足を受けて、「自動運転の実用化」(日本郵便)、「荷役作業の自動化と負担軽減」(シモハナ物流)、「AI(人工知能)や先進的なIT機器類等を積極的に研究検討・導入」(コクヨロジテム)、「ITを活用した積み込み・配送時間の短縮」(ASKUL LOGIST)――といった自動化・省人化に意欲を見せる企業も複数あった。

(藤原秀行)

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