国交省検討委、台風19号の被害など踏まえ19年度中に意見取りまとめ
国土交通省は10月16日、東京・霞が関の同省内で「港湾等に来襲する想定を超えた高潮・高波・暴風対策検討委員会」(委員長・高山知司京都大名誉教授)の初会合を開いた。
今年9月の台風15号や10月の台風16号が横浜港で想定外の高波を引き起こして工業団地が広範囲に浸水するなど、各地で被害をもたらしたのを受け、ソフトとハードの両面で事前の想定を超えた高波や高潮、暴風にも耐えられる対策の全体像を検討。2019年中に中間取りまとめを、19年度内に最終取りまとめをそれぞれ策定する予定。
検討委の下に設けたハード施策検討WG(作業部会、委員長・高山氏が兼任)とソフト施策検討WG(委員長・池田龍彦放送大副学長)がそれぞれ詳細を詰める。
同日の会合では国交省が検討の方向性に関する素案を提示。広範囲への浸水の対策として、防波堤の上部に取り付ける低い壁「バラペット(胸壁)」の増強や埋め立て地内の臨港道路かさ上げによる多重防護実施などを打ち出した。
さらに、船舶衝突による施設損傷回避へいかりを下ろして停泊することを制限する海域の適切な設置のほか、埋め立て地が孤立した場合に海上から輸送できるルートの確保などが示された。
国交省によると、同日の会合ではこのほか、港湾施設を造る上で計算の前提となる、沖合の波の高さ「沖波」について、長期間見直しが成されていないことなどを問題視し、定期的なチェックが働く仕組みを検討すべきとの意見が出された。
(藤原秀行)