JA-LPA推進協議会が物流不動産の動向に関するセミナー開催

JA-LPA推進協議会が物流不動産の動向に関するセミナー開催

使い勝手良い建物で現場業務効率化するソリューションの重要性指摘

物流不動産に特化した評価・診断業務などを展開している日本物流不動産評価機構(JA-LPA)推進協議会は10月18日、東京・東新橋の日本通運本社内で、物流不動産市場の動向に関する第13回セミナーを開催した。

「『令和』新時代の物流不動産~物流不動産の大きな曲がり角、今何が起きているか?その背景と未来予想」と題し、官民の関係者がそれぞれの立場から最新の情報を発信。単に物流施設を提供するのではなく、さまざまなITを導入したり多様なアイデアを取り入れたりして物流施設の価値を高めると同時に建物の使い勝手の良さを極め、利用する荷主企業や物流事業者の業務効率化を後押しするソリューションを実現していく重要性を指摘した。


セミナー会場

中国の物流進化の動き「日本企業にとってチャンス」

冒頭、国土交通省都市局の市街地整備課で拠点整備事業推進官を務める小川博之氏が基調講演を行った。先進技術を駆使して全体を管理し、自然との共生や省エネ、エリアの安全・安心、環境負荷軽減、手軽に利用できる移動手段といった幅広い分野に配慮、持続可能な都市・地区を構築する「スマートシティ」構想を全国で進めていることを紹介。その一環として神奈川県藤沢市で街専用の配送センターを設けて地域の荷物配送を効率化している事例に言及し、構想を広める中で物流施設とも連携していく可能性に期待をにじませた。

このほか、2013年度に創設した国際コンテナに対応した物流拠点の整備・再整備推進を図る「国際競争流通業務拠点整備事業」や、16~17年度の東京団地冷蔵建て替えに補助した「東京団地冷蔵再整備事業」に言及。国交省としても先進的な物流施設整備に引き続き注力していく構えを示した。

続いて、日本政策投資銀行(DBJ)産業調査部の須釜洋介産業調査ソリューション室課長が「中国ニューリテールと物流技術の動向」について講演。中国のEC最大手アリババグループが提唱した、eコマースと実店舗を連携して売り上げ規模拡大を図る「ニューリテール」構想を解説し、オンラインで注文を受けた商品の30分以内配送、セルフレジ・キャッシュレス決済の推進などの事例を取り上げた。

中国全体でも高速道路や物流施設などの物流関連インフラの整備度合いが欧米や日本に迫るほど高まっていることを指摘するとともに、進化し続ける中国の物流として、eコマース大手の京東集団(JDドットコム)が全てのロボットやフォークリフト、パレットなどの追跡・監視を可能にしている最先端の物流モデルセンターを上海に建設している点にも触れた。

こうした状況から「中国の技術力は日本の優秀な現場力とオペレーション品質の高さを求めているという声もあり、何らかのパートナーシップ構築は一向に値する」と語り、日本企業にとって現状はチャンスとの見解を提示した。

デザインの側面から物流施設の価値向上狙うアプローチ

イーソーコの大谷巌一会長は、iPhoneやiPadの登場が日常生活を一新したように、世界は今大きく変わろうとしていると強調。「パラダイム変革期は動かないことがリスク」として、最適な物流環境の実現へ物流や不動産、金融、建築、ITの各業界の垣根を越えて有機的に連携し、課題を包括的に解決していくソリューションを「物流不動産ビジネス」と定義し、普及に注力していく姿勢をアピールした。

また、「コンソーシアム(共同事業体)で事業を盛り上げていく」と語り、関係者の人脈形成や情報取得をサポートしていくことに強い意欲を見せた。

日本郵船の鈴木英樹デジタライゼーショングループ長は「現実と妄想のあいだに~新時代に向けたLogistics OSのUpdate~」をテーマに設定し、仕事で訪れた米シリコンバレーのスタートアップ企業の動向などをプレゼンテーション。事業変革のスピードが速いことなどを訴え、日本の物流業界にも奮起を促した。

一級建築士事務所タカトタマガミデザインの玉上貴人代表は、大手物流施設デベロッパーESRから物流施設の設計を請け負った実績を紹介。託児施設は子どもが生き生きと動けるよう配慮したり、建物の外観が無機質にならず深みが出るよう通路の配置を工夫したりと、デザインの側面から物流施設の独自性を発揮し、価値を上げていく新たなアプローチにトライした実績を披露した。

(藤原秀行)

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